FC2ブログ
カテゴリ

最新記事

QRコード

QR

リンク

このブログをリンクに追加する

月別アーカイブ

プロフィール

kangekinocafe

Author:kangekinocafe
観劇の記録と紹介です。

えびす組劇場見聞録メンバーです。
しばらくblogはお休みしていましたが、【演劇、観劇のカフェ】blogからこちらに引っ越して来ました。
どうぞよろしく。

観劇のカフェ
出会った作品について語ります。関連書籍や音楽も、できる限りご紹介します。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

新国立『マニラ瑞穂記』(4/3-20)
マニラ瑞穂記ポスター昨年、新国立劇場で上演された『長い墓標の列』。
(観劇録はこちら
それはベテラン俳優たちとともに多くの新国立劇場演劇研究所修了生たちが出演するという企画でした。
企画の意図以上に、作品として濃厚でエネルギッシュな舞台を見せてくれました。

さて、その第2弾は、作・秋元松代の戯曲『マニラ瑞穂記』。
演出は、新国立劇場演劇研修所所長として、研修生を育て、成長を見守ってきた栗山民也です。

戯曲を読んで初日観劇に臨みました。
1933年(明治31年)、フィリピンのマニラを舞台に繰り広げられてきた世界各国の国盗り争い。
いつの時代になっても私たち人間のやることは同じだと、現在の世相にリンクする視野の大きな物語と思いきや、その場所で生きる人々の生きざま、個々の信念、ひいては日本人の魂にも言及するような身近に感じられる作品でした。
時代背景なりの男たちの信念、その環境に身を置く女たちの生きるための覚悟などが、赤裸々に描かれています。
特に、混乱の時代に異国の地で、信念で自らを覆うようにして正気を保っている若者たちの姿には心を打たれました。
親兄弟と別れて、今この異国にいる彼ら。
何と戦い、誰が救われるのか、その答えは自ら作り、信じることしかないのです。

さて、ここからは少々ネタバレします。------------
戯曲を読んだ時と少し異なる印象を受けたのが、海軍中尉の「古賀」像です。(古賀を演じるのは昨年の『長い墓標の列』に引き続いて出演する演劇研修所第1期修了生の古河耕史
第一幕前半に、秋岡伝次郎(千葉哲也)が老婆のシズの容姿と存在に恐れを抱く場面があります。
口の利けないシズと名付けられた女性が日本人らしいというのを確かめるのに、日章旗を見せると君が代を歌うと聞いて、古賀が日章旗を指し示し、シズに向かって君が代を唄えと促すのです。
それを制止する秋岡。
この秋岡は、女衒(ぜげん)と言われる女性を売って働かせることを生業としている男です。
それを知った上で古賀は、お前の売った女の末路かもしれないと秋岡に言い放ちます。
戯曲を読んでいる時には、なんてやることのいやらしい心の痛みのわからない男だと古賀のことを決め込んでいました。
しかし舞台での展開を観ていると、秋岡の人身売買という商売を戒めるような物言いに、古賀の真っ直ぐで純粋な人間性が見えてきました。

二幕で古賀が秋岡に対してある企てをしますが、その際に彼が訴える言葉に嘘はないのだと、異国の地で日本人として日本人でいられる生き方を模索してもがいている彼の性根が切なく思えてきました。
海軍中尉として汚れのない純白の制服に身を包む彼の心もまた純白であったのだと。すべてはその心を守るためのスタイルであったのかと。

秋岡と古賀の信念の対峙は、最初のあの場面からはじまっていたのだと思えました。
そして結末へ。

秋岡を理解する日本領事の高崎(山西惇)。
秋岡と高崎、彼らは役の上でも俳優としても、ただならぬ大きな気配を漂わせています。それも見どころの一つ。

ベテランとの共演と言っても、既に経験を積んだ研修所修了生がその役割を担いつつあります。
今後はどんな作品を見せてくれるのでしょうか。
劇場へ足を運ぶ楽しみが増えたように思います。

マニラ瑞穂記舞台美術。小劇場のロビーに展示されている舞台美術模型。
客席が四方から舞台を囲んでいます。
美術・伊藤雅子

作・秋元松代、演出・栗山民也、
美術・伊藤雅子、照明・田中弘子、音響・吉沢 真、衣裳・中村洋一

※公演詳細は新国立劇場の公式サイトで。

(新国立劇場 小劇場にて)

※新国立劇場 演劇研修所についてはこちら

※新国立劇場のサイトでは、こちらの修了生情報で、修了生の活動を知ることができます。


☆『マニラ瑞穂記』を収録。
マニラ瑞穂記・常陸坊海尊 (1964年)マニラ瑞穂記・常陸坊海尊 (1964年)
(1964)
秋元 松代


スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。