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Author:kangekinocafe
観劇の記録と紹介です。

えびす組劇場見聞録メンバーです。
しばらくblogはお休みしていましたが、【演劇、観劇のカフェ】blogからこちらに引っ越して来ました。
どうぞよろしく。

観劇のカフェ
出会った作品について語ります。関連書籍や音楽も、できる限りご紹介します。
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1000文字エッセイ「タブーへの挑戦」
1998年当時書いた観劇記が見つかったので、1000文字エッセイとして編集してみました。
1998年にTPTで再演された『テレーズ・ラカン』について。
演出はデヴィッド・ルヴォー
当時どう感じていたのか、ミュージカル『ルドルフ ザ・ラスト・キス』をはじめ、彼の演出作品の観劇記録として書き記します。
以下、前説からはじめます。
(注:1998年当時に書いた文章の表記です)
1998年。
今、最も日本の観客に受け入れられている外国人演出家は誰かと聞かれたら、私はデヴィッド・ルヴォーの名をあげる。
1957年生まれのイギリス人で、日本で演出する以前にアメリカのブロードウェイでも成功を収めている。
その彼が、日本人のプロデューサーと二人のユニットで、東京のベニサン・ピットを本拠地とする「シアター・プロジェクト・東京(TPT)を1993年に立ち上げた。
芸術監督としてだけではなく、年に数本の演出を行い、今年で5周年目を迎えた。

そこでの第一作目がエミール・ゾラ原作の『テレーズ・ラカン』。
主な配役は、タイトルロールのテレーズに藤真理子、テレーズの夫カミーユの友人であり彼女の不倫相手でもあったローランに堤真一、カミーユの母に佐藤オリエ。初演当時は俳優の名前で観客を動員するという程ではなかったと思う。しかしながら、観客は当時日本であまり知られていなかったイギリス人演出家による作品を評価し、注目し続けた。
そして『テレーズ・ラカン』は再演となった。
1994年の『双頭の鷲』からデヴィッド・ルヴォーの演出作品を見続けてきた私でさえ、初めはそのストレートな演出表現に驚かされた。

1000文字エッセイのタイトルは、 
「タブーへの挑戦」 (注:1998年当時に書いた文章の表記です)

 TPT5周年記念公演と銘打って、創立第一回目に上演された作品の再演である。『テレーズ・ラカン』は、この年の“WOMAN”(女性に焦点を当てた作品)というテーマの上演第一作目でもあった。
 19世紀のフランス人作家エミール・ゾラの作品。テレーズ(若村真由美)は、夫カミーユ(今井朋彦)の友人ローラン(堤真一)と一緒になりたいが為に、二人でカミーユを事故に見せかけて殺害。その後に同居していたカミーユの母(佐藤オリエ)の願いでローランとの結婚にこじつける。しかしカミーユの影から二人とも逃れることが出来ず、ついにはカミーユの母に殺害がばれてしまうが、ショックで彼女の体は硬直。体が回復しかけた時、カミーユの幻影におびえ疲れた二人は、彼女の目前で静かに自殺を図ったのだった。
 ここで描かれていたのは、女性の愛と精神的な強さ、それと常に背中合わせの孤独だった。テレーズは病弱な夫と対照的な快活で激しい感情を持つローランと、姑と夫と暮らす家で毎晩のように隠れて愛し合うという大胆さだ。「嫁であり妻であり」を演じていたテレーズが次第に夫を憎んでいく様を、ルヴォーはその愛情表現で見せた。寝室の窓から侵入してくるローランをテレーズは引き寄せ、口づけをして、いつ見つかるとも知れない短い時間の中で床に転がりながら、テーブルにもたれかかりながら、激しく衣服を剥ぎ取りながら愛し合っていく。閉塞感のある舞台と客席が一体となった劇場で観客は彼らの行為を目撃し、胸の内を探った。
 カミーユ亡き後に迎える新婚初夜の準備で、テレーズは一糸まとわぬ姿から純白の夜着を身に着けていく。それは日常着をつけたままでのローランとの隠れた行為から、晴れて正々堂々と一緒に夜を迎えられる転換の象徴だった。
 堤は再演にあたり「今までTPTを観てきた人はそんなに衝撃を受けないと思う」と語っていたが、初演を目の当たりにした観客の衝撃とはどんなものだったのか。しかしルヴォーは再演という形で支持を得ていた。必然性があれば、‘愛の行為’も‘裸’も、メッセージとして伝えることが可能なのだ。
 ルヴォー演出の作品には、愛に対して貪欲な女性が登場する。それでいてどの作品でも彼女たちの行為は私たちを惹きつける。そこには性を公にすることへの罪悪感ではなく、共感が常に存在していた。
(1998年観劇)
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