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Author:kangekinocafe
観劇の記録と紹介です。

えびす組劇場見聞録メンバーです。
しばらくblogはお休みしていましたが、【演劇、観劇のカフェ】blogからこちらに引っ越して来ました。
どうぞよろしく。

観劇のカフェ
出会った作品について語ります。関連書籍や音楽も、できる限りご紹介します。
『昔の女』(3/12-22)
開演前、渡されたチラシを眺めてみると、この作品の演出の倉持裕の名前が、複数見つかりました。
作家として、演出家として、脚本家としての倉持裕。
これまでに彼の作品の何を観たことがあるだろう・・・と思案したところで、浮かばない。
何がこれから始まるのか、期待に胸を膨らませて開演を待ちました。

ドイツの最先端劇作家と称される作家ローラント・シンメルプフェニヒの作品です。
舞台の両脇に通路を設えたようなコの字の舞台は、引っ越し前日のある部屋の一室。
真正面には玄関が見えます。
全てはそこから始まったサイコサスペンス。
心臓の弱い人には、ちょっとしんどいかもしれないと思うほど、衝撃は突然、そして次々とやって来ます。
予想を越えた展開を、倉持の一風変わった演出がその心理を大きくえぐり、目の前で起きる物事の深刻さを観客に植え付けているようでした。

物語の導入としては、引っ越しを明日に控えたある家庭に、夫(松重豊)の24年前の恋人と名乗る女性(西田尚美)が現われたことから始まります。
ドアを開けたのは夫。
姿を見ても、若い頃の恋人の一人でしかなかった彼女を、すぐには思い出せません。
しかし、気配を感じた妻(七瀬なつみ)が腹を立てるほど、夫の「昔の女」は、今でもずっと夫のことを愛し続けているというのです。
諦めて帰りかけた彼女の後ろ姿を息子(日下部そう)とガールフレンド(ちすん)が気に留めたのが、これから起こる衝撃的な事件へと大きく発展することになるとは・・・。

登場人物のセリフの応酬によるこの作品は、登場人物と、そして観客の心理を大きく狙ったものへと変って行きました。
場面が行きつ者戻りつするのが特徴ですが、最初とその次に訪れる同じ場面に施された変化が、その技法を飽きさせるどころか恐怖へと陥れていくのを感じました。
どうしてそんなことになるのか、人が腹を立てる時の心理、そして何をもって油断するのか、よく心得た構造となっています。

昔の女は本当にこの家に来たのだろうか・・・幻にも感じられる不思議な存在と数々の出来事。
しかし、ボーイフレンドの姿を追い続けていた息子のガールフレンドの全てを見つめる目が、そこで起きたという事実を物語っており、私たちはやはり恐怖から逃れることはできないのです。

作・ローラント・シンメルプフェニヒ、翻訳・大塚直、演出・倉持裕、美術・中根聡子、照明・小笠原純、音響・上田好生、衣裳・太田雅公

※公演詳細は、新国立劇場のサイトで。
 この作品はシリーズ・同時代【海外編】の第1弾として上演されています。

(新国立劇場 小劇場にて)

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