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kangekinocafe

Author:kangekinocafe
観劇の記録と紹介です。

えびす組劇場見聞録メンバーです。
しばらくblogはお休みしていましたが、【演劇、観劇のカフェ】blogからこちらに引っ越して来ました。
どうぞよろしく。

観劇のカフェ
出会った作品について語ります。関連書籍や音楽も、できる限りご紹介します。
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『ペンギン・カフェ2013』(4/28-5/4)
ペンギンカフェ20132010/11シーズンオープニング公演として上演されたビントレーの「ペンギン・カフェ」
当時の同時上演は
・バランシン振付「シンフォニー・イン・C」
・フォーキン振付「火の鳥」
でした。
(当時の公演詳細はこちら

今回は、「火の鳥」ではなく、『E=mc²』が上演されます。

●『シンフォニー・イン・C
物語のないアブストラクト・バレエ(抽象バレエ)と言うのだそうで、人間の身体の美しさ、フォーメーションの優美さを堪能できる作品です。
バレエを習ったことのない私には、ポジションについて何の知識もありません。
それでもオーケストラの演奏を聴きながら、目前にで繰り広げられるシンプルな舞踊を楽しむ、という感覚は、観客に与えられた権利、だと思うのです。

音楽・ジョルジュ・ビゼー、振付・ジョージ・バランシン

●『E=mc²
Wikipedeiaによると、【E = mc2は、アルベルト・アインシュタインが特殊相対性理論の帰結として発表した関係式。質量とエネルギーの等価性およびその定量的関係を表している。この等価性の帰結として、質量の消失はエネルギーの発生であり、エネルギーの発生は質量の消失を意味する。従ってエネルギーを転換すれば無から質量が生まれる(対生成)】。

この作品は、エネルギー(ENERGY)、質量(MASS)、マンハッタン計画光速の二乗(Celeritas²)の4部で構成されています。

相対性理論は、広島・長崎に投下された原子爆弾の開発に応用されました。
そんな経緯を踏まえてみると、この公式の間に入るマンハッタン計画で爆発が起きた後、それに続く最終章で、数人から群舞へと明るく発展していく様は、公式の中の光というよりも、その後の日本が発展していく希望のように私には見えました。

音楽・マシュー・ハインドソン、振付・デヴィッド・ビントレー

●『ペンギン・カフェ』
何度観ても、動物それぞれの特徴をとらえたダンスが魅力的。
そしてさらに今回は、どんどん居場所を失い、逃げるようにジャングルをさまよう「熱帯雨林の家族」の表情ひとつひとつが胸を打ちました。
居場所を求める人の悲しそうな表情が。

音楽・サイモン・ジェフス、振付・デヴィッド・ビントレー

(新国立劇場オペラパレスにて)

東京公演は終了しましたが、5/8と11に静岡と御殿場で公演があります。
 (静岡公演)5月8日(水)静岡グランシップ 7:00p.m./5月11日(土)御殿場市民会館 2:00p.m.
※静岡、御殿場両公演は、「ペンギン・カフェ」「シンフォニー・イン・C」2作品での上演となります。

※舞台写真はこちら

 公演内容の詳細はこちらの特設サイトで。(ペンギン・カフェのダイジェスト映像もあります)

☆サイモン・ジェフスの息子、アーサー・ジェフスによるペンギン・カフェの新作アルバム。
ア・マター・オブ・ライフ(初回限定:DVD付き)ア・マター・オブ・ライフ(初回限定:DVD付き)
(2012/06/24)
ペンギン・カフェ



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テーマ:ダンス - ジャンル:学問・文化・芸術

『リハーサルルーム』新国立劇場 情報センターにて観劇
新国立劇場、バレエ鑑賞前に、初めて5階の情報センターへ。

演劇研修所1期生による『リハーサルルーム』をビデオブースで観劇。(2008/2/9、公式サイトはこち
なかなか戯曲がリアルで1時間46分の間中、胸が締め付けられる思いで観続けました。

舞台の上の、職業を俳優として生きて行こうとする彼らは、「今」をどうしているのだろう?
そんなことを考えさせるような、当時の彼らのセリフ。
作・篠原久美子の書き下ろしだと、いろいろと検索しているうちに知りました。

新国立の演劇研修所は、バレエのように修了しても所属できる団体はありません。
修了したら自分でプロダクションに入るなりして、それからようやく俳優としての活動が始まるらしいのです。聞くところによると。
入所するのも狭き門で、1期は40倍だったとか。
15名が研修所で「自立した俳優」としての修行を三年積みました。

『リハーサルルーム』は、そんな第1期生の修了公演。(2008年2月)
物語が進むと同時に緊迫感がどんどん増す中、
終盤、劇中劇で上演される舞台の背景に流れる音楽はジャズ。
しっかりと現状を受け止めて、自分の足で歩いていこうとする彼らが、本当の意味で大人になっていく落ち着きを感じ、観る者はようやく安堵できました。
修了生にエールを贈ります!

作・篠原久美子、演出・栗山民也、
美術・長田佳代子、照明・田中弘子、音響・河原田健児、衣装・宇野善子、音楽・後藤浩明、演出助手・田中麻衣子、舞台監督・三上司、研修所長・栗山民也

そこに、新国立劇場演劇研修所長 栗山民也氏の紫綬褒章受章のニュース

★そして、現在3年次の第7期生が、初めて観客の前で演技する試演会があります。
新国立劇場ドラマスタジオ公演 第7期生試演会『ぼくの国、パパの国』(5/17-19)
作・アユーブ・カーン=ディン、翻訳・鈴木小百合、演出・鈴木裕美
(試演会の公式サイトはこちら

私はまだ研修所の試演会を観たことがないので、ぜひ観たい。
観劇録は、また後日。


テーマ:演劇 - ジャンル:学問・文化・芸術

『効率学のススメ』(4/4-28)2nd
四方八方、舞台を同じ高さからだけでなく、上からも見ることができます。
(新国立劇場 公式サイトの舞台写真はこちら

今度は2階席から見渡しました。
視覚、聴覚に訴える導入部分。
驚きです!
2階席はクッションの上に座ると、足が床に着きません。
そこから見る冒頭の様は、音楽と映像によって、まるでこちらも宙に浮いているような不思議な感覚を味わいました。

上から見下しているようにも見える、効率化をススメるコンサルタントのケン(豊原功輔)。
そこから次第に地に足が着いて、人と人との心が繋がり、親密さが増し、機械のようなケンが人間性を帯びてくる。
そんな順を追ったストーリーにも見えました。

非効率の最たるものは、人間の感情。
ケンや、効率性を調査される研究所のジャスパー(田島優成)、ジェニファー(渋谷はるか)、そしてイフィー(宮本裕子)の心の変化や成長を目の当たりにして、目頭が熱くなりました。
共感して、私の心の機械的な部分が溶かされた感じです。

作品中、特に好きなのは、特定の音楽がかかると、朝だ!7時だ!と記憶を喚起させられる場面。
ジャスパーの行動開始のテーマ曲のようでもあり、躍動感があって心が踊ります。

そして、音楽に乗ってジャスパーとジェニファーがブラウンペーパー上で一緒に作成していく場面。
こういう無意識の無心な共同作業が羨ましくもあります。

ジャスパーあってのジェニファー、ジェニファーあってのジャスパー、イフィーあってのジャスパー、ケンあっての…そんな心の絆のような、同士のような関係がとても良く見えて、心が熱くなりました。
幸せになれる舞台、心が寂しくなったら思い出したいと思います。

人の心と行動は予測できない非効率が魅力でもありますが、上演時間2時間弱は、集中力を持続するのに効率的なちょうど良い時間。
28日まで。

(初回観た観劇録はこちら)

作・アラン・ハリス、翻訳・長島 確、演出・ジョン・E・マグラー、
美術・二村周作、照明・小川幾雄、音楽・後藤浩明、音響・加藤 温、衣裳・伊藤早苗、ヘアメイク・川端富生、
映像・冨田中理、舞台監督・大垣敏朗

※『効率学のススメ』公式サイトはこちら

☆『効率学のススメ』戯曲を収録。
悲劇喜劇 2013年 04月号 [雑誌]悲劇喜劇 2013年 04月号 [雑誌]
(2013/03/07)




地人会新社『根っこ』(4/4-28)
原題を「ROOTS」とする、アーノルド・ウェスカーの作品。
英国北東部、農業を営む両親(渡辺えり・金内喜久夫)と兄姉の住む地へ、末娘のビーティーが久しぶりにロンドンから帰省します。
話すことと言ったら、恋人のロニイがああ言ってた、こう言ってた、だからこうあるべきだという話ばかり。
傍から見たらうっとうしい娘のおしゃべりも、母親にとっては嬉しいのでしょう。
お風呂に入りたいと言ったら、蛇口をひねればお湯が出てくる環境ではないのですが、よたよたしながらお湯を汲んで娘のためにお風呂の準備。

それでもビーティーのおしゃべりは止まらず、教養の無い自分に考えることを与えてくれて開眼したとか、どうとかロニイの受け売りばかり。
そのロニイも、二週間後にはこの地に訪ねてくるのだと言います。
その時は、きちんとして出迎えて欲しいと家族に告げて、いよいよその日が・・・。


渡辺えり演じる母に、全編通して無償の愛を痛いほど感じました。
末の妹、ビーティーが受けた痛手、口やかましく姉夫婦にまであれこれ言っていたのに、そんな時に一番に駆け寄るのは姉でした。
気難しい父親も、そして兄も、口出しせずに見守ります。
しかし、現実を見ろよと言わんばかりに叱咤するのが、やはり母の愛。

それに気づいてよ~と思うけれど、当の本人はなかなか。

ビーティーは、ついに自分の言葉で話し始めたのでしょうか?
私には、ショックから一転して嬉しそうに話し出す彼女の姿は、ロニイという教祖に洗脳された信者にも見えて、まだまだ家族の心配は続きそうな、そんな家族の在り方に見えました。

現代の「ROOTS」ですが、邦題のタイトル「根っこ」として作品中のキーワードとなっています。
家系の、その生き方をたどるようでもあり、思想の根源でもあり、つきつめると何が私たちを形成しているのか、その意味は深い。
産まれてから今までだけが、今の自分でないことも、ちょっぴり考えされられました。

劇場に入った観客の第一印象に訴えかけるような、象徴的な家の壁。
あの美術の発想も面白いのですが、全然奇をてらった感じがしない。
そこがまた凄い。

この作品は、よく上演される『調理場』と前後して書いた“三部作”の一作、だそうです。
(『調理場』の舞台版、蜷川演出『キッチン』の観劇録はこちら

作・アーノルド・ウェスカー、訳・木村光一、演出・鵜山仁
美術・島次郎、照明・沢田祐二、衣裳・原まさみ、音響・斎藤美佐男

※地人会新社の公式サイトはこちら

ウェスカー三部作 (1964年) (晶文選書)


テーマ:観劇 - ジャンル:学問・文化・芸術

4月 おくだ会
おくだ会4月歌舞伎ソムリエの肩書を持つ、イヤホンガイド解説員おくだ健太郎さん。(おくださんの公式ブログはこちら

その昔、私が歌舞伎に関心を持ち始めた頃、おくださんを知る友人から、こちらの会をご案内いただきました。
その月の演目にちなんだお話であったり、注目の役者さんのお話であったり、時には歌舞伎のゲストが招かれたりと、その時によって話題は様々。
歌舞伎の舞台とともに、すっかり会にも魅了されました。

都内数か所で開催、お茶を飲みながら、ゆったりとお話しが進みます。

久しぶりに、4月は歌舞伎座のすぐ横にある喫茶店「樹の花」で開催された会に参加しました。

こちらはかつて、ジョン・レノンも訪れたという老舗の喫茶店。
おくださん自身も、学生時代アルバイトをしながらお隣の歌舞伎座に通っていたそうです。

新しくなった歌舞伎座の横で、再び当時のお話を伺いました。
大向こうの会に入った時のこと、歌舞伎役者に信頼されていた大向こうさんのこと、そして四月の歌舞伎座のこと。
新しい歌舞伎座の、新しい試みの「字幕ガイド」について、ご自身の担当されたパートの制作秘話も。

お店のコーヒーと、おくださんが持参された歌舞伎座土産をいただきながら、歌舞伎好きの人々と過ごすひと時。

一方的な講義と違い、小さな空間で、気になることはご本人に気軽に伺うことができるので、ますます歌舞伎が好きになります。

次回、5月のおくだ会のご案内は、こちら

テーマ:歌舞伎 - ジャンル:学問・文化・芸術

文学座アトリエ『十字軍』(4/16-30)
文学座に新たな演出家が、ここ文学座アトリエでデビューしました。
準座員の稲葉 賀恵
彼女の文学座公演初演出作品は、作・ミシェル・アザマ『十字軍』。(文学座の公式サイトはこちら
文学座のサイトでも「残酷な運命にさらされた人間の姿を描く作品が多い」と、作家について語られています。
そしてこの『十字軍』でも、武器を持たない子どもたちが、武器を持たざるを得ない若者たちが、戦いの渦中で生活せざるを得ない老人が、容赦なく死んでいく様が次から次へと描かれています。

救い、と言えるのかどうか。
こちらも文学座のサイトから引用すると、老婦人の台詞「生きるも死ぬも喜劇みたいなもの。悲劇にだけはしてはいけませんわ。」その言葉通りに、死んだ人々は仕事を持ち、次にやって来る人々を待ち、それぞれ過去の想いを切り捨てるように、別の世界でこれからを生きています。

そうでも思わなければ、今のこの世の中を生き抜く意欲が失せてしまうのか、
はたまた恨みつらみが募ってしまうのか。

文学座のアトリエという空間で、客席が四方八方を取り囲むようにして、生きている人々、死んでいる人々の動向を見守ります。
時には、登場人物も客席に座って一緒に。
それはまるで、生きている私たちが死と隣り合わせているような、
生きている私たちが、彼らが死ななければならなかった理由を忘れずに考え続けなければいけないと訴えられているような、
もっと大きな意味で、なぜ私たちはいつの時代にもこの世に戦いを起こしていなければならないのか、
そのなぜを喚起するように、生身の体と発せられる言葉が空間を駆け回っているのです。
敵という垣根をせっかく愛が超えさせてくれたのに、武器があっと言う間に人としての感覚を奪ってしまうなんて。
今を生きる私たちは、考えねばならないことがたくさんあることを思い知ります。
これは私が作品から伝えられたこと。

初日に観劇。
演出家は、始終考え込むように舞台を見つめていました。
まだまだどうしたい、こう伝えたい、という想いを抱えているようにも見えました。

劇場でも販売している「文学座通信」に、イラストつきで作品について書かれています。
無邪気に遊ぶ子どもたちであったり、そこに生きた人々であったり。
そのイラストは、演出の稲葉賀恵によるものです。
大学で映像を学んだ彼女の頭の中には、しっかりと舞台の構図が描かれている、そんな様子をうかがい知るような素敵なイラストです。
登場人物や小道具の、舞台の配置にも注目して見ていただきたい作品です。

作・ミシェル・アザマ、訳・佐藤 康、演出・稲葉賀恵
美術・乘峯雅寛、照明・金 英秀、音響効果・青木タクヘイ

(文学座アトリエにて)

※文学座アトリエにて、イベント情報。
4月21日(日) 終演後
【パネラー】
 佐藤康(翻訳)
 鵜山仁
 稲葉賀恵
 進行:大場泰正

4月27日(土) 終演後
【パネラー】
 出演者及び演出家

【会場】
 文学座アトリエ

☆『十字軍』を収録。
十字軍/夜の動物園 (コレクション現代フランス語圏演劇)十字軍/夜の動物園 (コレクション現代フランス語圏演劇)
(2010/06)
ミシェル アザマ



テーマ:観劇 - ジャンル:学問・文化・芸術

『ヘンリー四世』(4/12-5/2)
ヘンリー4世さいたまハル(松坂桃李)、と大酒飲みで遊び好きなファルスタッフ(吉田剛太郎)に呼ばれる青年はいったい何世なのか、そんなことも知らずに観ていました。

ヘンリー四世(木場勝巳)を父に持ち、その放埓ぶりからなかなか認められない親子の確執。

終盤、王の死後、ヘンリー五世として存在しなければならないハル王子の決断。

この物語は、私たちが知る先に上演された史劇『ヘンリー六世』『リチャード三世』へと続くシェイクスピア作品の序章なのかという気さえしていました。
本来は、その後に書かれているのです。

国内の紛争を脱し、その後、分別ある王に成長し、フランスの征服に乗り出す。
薔薇戦争の時代へと、舞台に落ちる赤い薔薇が、今後のすさまじい時代を予感させていました。

ところで、舞台映えしてしっかり発声する松坂桃李に嬉しい驚き、そして彼がヘンリー五世になるのかと
『ヘンリー六世』『リチャード三世』を知る観客は全てが繋がった感じがまた嬉しい作品です。

毅然として、凛として、高貴さを身に纏ってそこに存在していたヘンリー四世の三男・ランカスター公ジョン
見知らぬけど、演じる役者は誰だろうと。
その人は、さいたまネクスト・シアターの俳優(白井 大)だと、配布された配役表の一番下に記載されていました。
初日からケガで出演を見合わせていた俳優の代役だったとは、まったく気付きませんでした。
この時点でネクスト・シアターから2名が出演。

まだネクスト・シアターのメンバーだけの公演は観たことがありませんが、彼らが活躍することによってその母体について知りたくなる。
これも出演する彼らの役割なのかもしれません。
(13日代役のお知らせはこちら

★17日から、ランカスター公ジョンの役は、予定されていた俳優の登板となったそうです。
(17日復帰のお知らせはこちら

※『ヘンリー四世』公演の詳細は、彩の国さいたま芸術劇場の公式サイトで。

(彩の国さいたま芸術劇場 大ホールにて)

☆『ヘンリー四世』 一部、二部ともに収録。
シェイクスピア全集24 ヘンリー四世 全二部シェイクスピア全集24 ヘンリー四世 全二部
(2013/04/10)
シェイクスピア



テーマ:観劇 - ジャンル:学問・文化・芸術

『効率学のススメ』(4/9-28)
効率学のススメ (320x180)前日に「劇場を持たない国立劇場」ナショナル・シアター・ウェールズの初代芸術監督ジョン・E・マグラー氏のトークを聴いていたので、正直言って、斬新な物語なんじゃないかと少々身構えていました。(トークセッションについての記載はこちら

冒頭から「劇場の特性を活かしてる」と思わせる登場シーン、そして舞台となるのは研究所。
近未来の話なのかと、半ば頭と体を強張らせながらその展開を見守っていたところ、意外にも身近な、そして人物に脚光を当てた物語に、次第に親近感を感じていったのです。

研究開発の効率化に関する調査のために、ビジネスコンサルタントが研究所に派遣されて来たことから始まります。
研究員にしてみれば、効率化とはリストラされることだと、危機感を抱きました。
その効率化を測るのに、時間管理調査のための‘ブラウンペーパー作業’という、模造紙に問題点やら、優先事項だかを書き出していく作業が強いられ、行われていくのです。

・・・この‘ブラウンペーパー作業’、ここでは「効率化」を追及するために研究員に作成させるものですが、ふた昔ほど前の、新入社員教育や会社内研修で行った「KJ法」、あるいはバブル期頃に流行った「TQC活動」を彷彿とさせるものでした。

作成する当の研究員としては、非効率的な問題が見えてきたのでしょう。
作業が進められるごとに、悲痛な叫び声をあげていきます。
それぞれの立場と事情。

幾何学的なイメージのタイトルとはほど遠い、そこにいる人物の生き方であったり、愛し方であったり、
そういう人間的な部分に共感を覚えていきました。
彼らがすっかり観る者の心に入り込んでいたのです。

ところで、今、私にとって一番興味深い読み物は、この作品のプログラムです。
・ウェールズの演劇事情
・稽古日誌
読んでみるとこの作品が、いわゆる通常の舞台づくりと異なる過程で出来上がっていることに驚くことでしょう。
それでも完成した作品は、決して奇をてらったりするものでは無く、観客の心に訴える、従来の作品となんら変わりはありません。
最終的には、作者の意図を観客に届けるということで、目指すゴールは同じなのですから。

新国立劇場の公式サイトの舞台写真からわかるように(こちら)、視覚的にも大変魅力的ですが、音楽の効果がとても面白いのです。
いつも同じ音楽がかかることにより、時の経過、場所、日々の活動、などを知るサインとして、作品を理解する助けとなっています。(音楽は後藤浩明)
登場人物の彼らの気持ちが伝わるようで、この空間にいること自体が楽しくなってくることでしょう。

作・アラン・ハリス、翻訳・長島 確、演出・ジョン・E・マグラー、
美術・二村周作、照明・小川幾雄、音楽・後藤浩明、音響・加藤 温、衣裳・伊藤早苗、ヘアメイク・川端富生、
映像・冨田中理、舞台監督・大垣敏朗

※『効率学のススメ』公式サイトはこちら

(新国立劇場 小劇場にて)

☆『効率学のススメ』の演出家ジョン・E・マグラー氏のロングインタビューが掲載されています。
悲劇喜劇 2013年 05月号 [雑誌]悲劇喜劇 2013年 05月号 [雑誌]
(2013/04/06)


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これから観たい-『楽屋』(6/15-16)
艶やかで、凛として、どことなく儚い印象のフライヤー。
作・清水邦夫『楽屋』の朗読劇が上演されます。

出演者がまた素晴らしく興味深い。
大舞台で歌い、踊って、舞台の中心でスポットライトを浴びてきた彼女たちが、あの『楽屋』を読み聴かせるなんて!
わたし的には事件です。

それを演出するのも、女性の視点から。
演出の薛珠麗 さんとは、最初は演出家としての出会いではありませんでしたが、観た作品を辿ると忘れられない意外な場面で彼女の演出に遭遇していたことがわかりました。

そんなあれやこれやが一堂に会するような舞台。


会場もかなりロマンチック。
女性のみなさんに、ぜひご一緒にとお誘いしたい気持ちをこめてご紹介します。
以下、公式サイトである吉沢梨絵さんのブログから転載します。

舞台のそばにあるけれど、そこは全くの別世界。

ー楽屋(がくや)ー

見せるのはずのない裏側は
表舞台より強烈にドラマチック・・・


【作】清水邦夫

【演出】薛珠麗

【出演】平岡由香/吉沢梨絵/森実友紀/山田ひとみ

【会場】六本木 音楽実験室 新世界
【日時】
2013年6月15日(土) 19:00
     16日(日) 15:00 / 18:00
    各50席 全席自由

【チケット料金】3500円 + 1drink

※興味のある方は、この作品のプロデューサーでもある吉沢梨絵さんのブログから予約できます。
 座席数が50席と少ないので、思い立ったらお早めに。

☆清水邦夫『楽屋』
清水邦夫〈1〉署名人/ぼくらは生れ変わった木の葉のように/楽屋 (ハヤカワ演劇文庫)清水邦夫〈1〉署名人/ぼくらは生れ変わった木の葉のように/楽屋 (ハヤカワ演劇文庫)
(2006/11/22)
清水 邦夫

商品詳細を見る


新国立劇場マンスリー・プロジェクト4月 トークセッション
新国立劇場のマンスリー・プロジェクト、
4月は『効率学のススメ』(公式サイトはこちら)の演出家でナショナル・シアター・ウェールズの初代芸術監督ジョン・E・マグラー氏と、宮田芸術監督とのトークセッション「With -つながる演劇・ウェールズ編―」。

私の一番の関心は2009年11月に設立された‘劇場を持たない国立劇場’の仕組みはどんなものかというもの。
ですが、これぞコロンブスの卵だ!という想いで話を聞きました。

ジョン・E・マグラー氏が、まずイギリスの国立劇場事情について語ってくれました。
イギリスは、イングランド、スコットランド、北アイルランド、そしてウェールズの4つの国から構成されているのは周知のこと。
ロンドンにある国立劇場は、私も行ったことがありますが、これはイギリスの、ということになるそうで、その他にスコットランドに1つ、ウエールズに2つ国立劇場が存在するそうです。
じゃあ、北アイルランドには?という疑問を持ちますが、これが複雑な問題を抱えているそうで、(『モジョ・ミキボー』の問題そのままに)北アイルランド独自での国立劇場の存在が難しいのだそうです。

そしてウェールズにはウェールズ語で上演される劇場が既にあり、ジョン・E・マグラー氏が芸術監督を務める国立劇場で上演されるのは英語。
そして劇場は・・・存在しません。
そのパイオニアがスコットランドの国立劇場だそうですが、では、どうするのかと言えば、ウェールズ各地で上演箇所を見つけ、その場所で作品をつくるのだそうです。
その制作方法については新国立劇場のサイト「ア・ラ・カルト」で、演劇ジャーナリスト岩城京子さんがウェールズ現地レポートの記事を書いているので参照してください。

なんといってもジョン・E・マグラー氏の意欲に驚かされたのは、初年度のプログラムについて、全て新作全て異なる場所全て異なる方法論、で上演したというのです。

自分たちが出かけて行って作る、これが‘劇場を持たない国立劇場’ということなのです。

今回のトークセッションは『効率学のススメ』の舞台で行われました。
今まで新国立劇場では見たことのない劇場空間となっています。
新国立劇場の公式サイトに舞台写真がアップされています。こちらを参照してください。
ますます期待が高まります。

15~20年ほど前のことですが、何度も友人宅のあるウェールズを訪ねたことがありました。
街中の道路や駅にウェールズ語と英語の標識があることから、独立独歩の精神を大いに感じたものです。
その精神が、街をあげて、独自の国立劇場の作品づくりへと導いたのかもしれないと、ふと頭をよぎりました。

(新国立劇場 小劇場にて)

☆『効率学のススメ』の演出家ジョン・E・マグラー氏のロングインタビューが掲載されています。
悲劇喜劇 2013年 05月号 [雑誌]悲劇喜劇 2013年 05月号 [雑誌]
(2013/04/06)
商品詳細を見る





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