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kangekinocafe

Author:kangekinocafe
観劇の記録と紹介です。

えびす組劇場見聞録メンバーです。
しばらくblogはお休みしていましたが、【演劇、観劇のカフェ】blogからこちらに引っ越して来ました。
どうぞよろしく。

観劇のカフェ
出会った作品について語ります。関連書籍や音楽も、できる限りご紹介します。
『甘え』(5/10-6/6)
劇団、本谷有希子
知名度のある俳優を主演に、エネルギッシュな舞台を作るということで気になっていた演劇人です。

ようやく『甘え』で、彼女の作品に触れることができました。

主人公のジュンに小池栄子
父親に抑圧され、殺意を抱く引きこもりがちな娘を演じています。

女友達が訪ねてきて語るのは、大好きな先輩と寝て、彼に頼まれたから他の5人の相手もしたけど、先輩は一番私に優しくしてくれたこと。
嬉しそうに語る友人を前に、自分とは大きく価値観が違うことに戸惑いつつも、どうにかして友人を理解しようと努め、励ますジュン。

この話題だけでも衝撃的ですが、さらに父親への殺意がジュンの思考のほとんどを占めていきます。
女の、男の、人間の、本能とエゴと畏れと偽善が噴出した作品の主題は、てっきり「価値観を変えること」だと思っていたら、「不道徳」についてであると作品紹介に書いてありました。

自身の「不道徳」な行いを認め、自らを「カス」と呼ぶ人々。
そういう人物の価値観が変わる時、それは自分でも驚くほどの変化であるように描かれています。
どう見ても「不道徳」を前提に生きるより、変わった後の彼らのほうが活き活きとしています。
しかし変わりたくても変えられない人は、どうすればのでしょうか?

試行錯誤した末に自分の価値観を変えようとジュンがとった策。
もっと違うやり方ではいけなかったのでしょうか?
そこに行き着くまでの過程が意表を突くほどに壮絶であっただけに、作者に求めたくなりました。

現実と幻想の狭間を、登場人物とともに在る観客。
笑いと怒りの波が交互に押し寄せてくるような緊張感のある舞台。
何しろ個々の俳優の演技がリアルなのが怖ろしいと感じてしまいました。
殺意を抱いた時の声って、こんなものなのか・・・?
作も演出もこなす本谷有希子
奇才であることは間違い無さそうです。

作・演出・本谷有希子
美術・中根聡子、照明・小川幾雄、音楽・渡邊琢磨、音響・藤森直樹(Sound Busters)、衣裳・畑久美子

※公演の詳細は、劇団、本谷有希子のサイトで。

こちらには、本作品のあらすじが掲載されています。


(青山円形劇場にて)

☆「シアターガイド 6月号」に、作品について記事が掲載されています。
 


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テーマ:観劇 - ジャンル:学問・文化・芸術

文学座有志による自主企画公演『ピンクの象と五人の紳士』(5/21-24)
文学座では、有志による自主企画公演が盛んに行われています。
先月は、「久保田万太郎の世界」の公演が第8回を迎えて上演されました。

ピンクの象と五人の紳士』が、信濃町にある文学座稽古場、新モリヤビルで24日まで上演中。
ご存知、別役実の作品です。
演出は若手準座員二年目の西本由香
テンボのいい進行から観客が得るのは言葉。
その台詞からは、実は現代社会で大切にしたいものが浮かび上がってきました。
深い作品をわかり易く伝える、なかなかステキな演出です。

シンプルな舞台装置も見所の一つです。
作品の持つ、現実にも幻想にも思えるなんとも宇宙的な空間の存在感。
美術は石井強司
出演者からスタッフに至るまで、大ベテランから若手まで一丸となって作品を作る環境にあるのが劇団の強味でしょう。

次作も期待しています。

※公演の詳細は、ピンクの象と五人の紳士公式ブログで。

(文学座 新モリヤビル1階にて)

別役実戯曲集遊園地の思想」三一書房
 「ピンクの象と五人の紳士」を収録
 脳死や人間の尊厳、臓器移植など、こういう題材も扱うのかとその言葉の意味にドキリとしました。


東京裁判三部作・第二部『夢の泪』(5/6-23)

夢の裂け目』に続く東京裁判三部作の第二部です。
観客は登場人物の抱くナゼの疑問から、歴史の、政治の、戦争のナゼについて考えさせられます。

時は昭和21年春ごろ、舞台は新橋駅に近いある法律事務所。
夫婦ともに弁護士で、妻の秋子(三田和代)は東京裁判におけるA級戦犯・松岡洋右の弁護人となることを依頼されました。
しかし戦犯容疑者の貯金や預金が封鎖されて、弁護料はどこから出るのか。
政府が戦犯の弁護料を国費で支払うことへの日本国民の反発は必須であろうから見込めない。
そこで思いついた街頭でのカンパもGHQに禁止され、どうしたものかと案じていたら、アメリカ側が費用を持つという連絡が。
喜ぶのも束の間、ナゼ弁護料を検察側が持つのだろうか?
ナゼ探しても必要な資料は出てこないのか?

その他、たくさんのナゼが弁護士や一般市民の口から出てきます。
登場人物の抱くナゼは、今の時代の私たちに、より良い社会にするための提言のように聞こえます。
過去のナゼを大切に、これからの未来が明るくなればと願わずにいられませんでした。

劇中、持ち込まれた騒動の一つに美しい歌があります。
そのナゼが解決された時、私たちは穏やかにその歌を聴くことができました。

作者の井上ひさしが遺し、伝えたかったことを、自分自身に取り込み、感じ、考える。
この三部作は栗山民也という演出家と出会って、末永く愛され、語り継がれる作品になったのだと思います。

作・井上ひさし、演出・栗山民也、
音楽・クルト・ヴァイル、宇野誠一郎、音楽監督・編曲・久米大作、美術・石井強司、照明・服部基、音響・黒野尚、衣裳・前田文子

公演の詳細は、新国立劇場のサイトで。

(新国立劇場小劇場にて)

☆作・井上ひさし「夢の裂け目」集英社
 

☆作・井上ひさし「夢の泪」集英社
 

☆作・井上ひさし「夢の痂」集英社

テーマ:観劇 - ジャンル:学問・文化・芸術

無名塾仲代劇堂小さな演劇祭『友達』(5/7-16)
無名塾主催、仲代劇堂小さな演劇祭2010 Vol.6として上演されていました。
場所は無名塾の稽古場。
その名を「無名塾仲代劇堂」と言います。

田園都市線用賀駅から徒歩20分という、閑静な住宅街に位置する稽古場には、自転車に乗ってご近所らしい人々も来場していました。

安部公房作の、かつては仲代達矢が出演して紀伊国屋演劇賞を受賞した作品です。
演出は、塾員の樋口泰子
不条理劇は語るは易し、表現するは難しですが、所属の塾員のベテランから若手まで、エネルギーたっぷりにまさに挑むという芝居を稽古場で観る楽しみを味わってきました。
立ち見まで出て大盛況でした。

作・安部公房、演出・樋口泰子

※公演の詳細は、無名塾の公式サイトで。

(無名塾仲代劇堂にて)

※写真は、無名塾仲代劇堂の外観です。
 レンガで縁取られた温かい雰囲気の建物です。

イキウメ『プランクトンの踊り場』(5/8-23)。
関数ドミノ』以来のイキウメでしたが、今回も見事に独特の仮説と現実の狭間に観客を迷い込ませてくれました。
そのテーマは思い込みとその力。
ある意味、演劇そのものではないかと思うのです。

笑い飛ばすことのできない展開、目の前で起きていることを疑う心が失われていく感覚。
これぞ演劇の持つ魔力(魅力とも言います)、観客は舞台の上の出来事のたいていのことは信じます。
より真実味を持って、自分の周りに起きても可笑しくないと思わせるイキウメンたち。
そこで起きることは全て現実、の演劇だからこそ、受ける心理的な影響は大きいのです。

空間の使い方もお見事。
壁一つで所が変わる、軸を中心に置かなかったところが妙技です。

息を潜めてその行方を見守りました。

作・演出・前川知大

※公演の詳細は、イキウメの公式サイトで。

※公式サイトには、前川知大『プランクトンの踊り場』インタビューも掲載されています。

(赤坂RED/THEATERにて)

 大阪公演もあります。

虚構の劇団「一人芝居&自主企画発表会」(5/15-16)
鴻上尚史の主宰する虚構の劇団
劇団メンバーの手による一作品が約20分×4本が、自主企画発表会と称して上演されました。
劇場では鴻上さん自らが座席に案内したりDVDを販売したりと、全力でバックアップしている温かい光景が見られました。

さて作品は、今時のエネルギー溢れる若い俳優が何を表現したいのか、興味津々で見せてもらいました。
メンバー自らが作・演出・出演する舞台はメッセージに溢れています。
こんなに充実していて1500円?
アンテナは張っておくものです。

■program(公式サイトより)

●『死に際の生え際
 ー生きるために生きる。~そんな僕達はまだ生きている~ー
 作・演出:山崎雄介
 出演:杉浦一輝、三上陽永、山崎雄介、渡辺芳博

●『FRIENDS
 ー伝えたい言葉ー
 作・演出・出演:大杉さほり

●『マグロ
 ー考えることも煩わしい。この先は勝手に決めてくれ。
  何せ私はマグロなのだから。ー
 作・演出:渡辺芳博
 出演:小野川晶、高橋奈津季、渡辺芳博

●『THE MATTER
 ー《事件;問題の意》
・a private matter 私事 ・a serious matter 重大事 
・a matter of life and death 死活問題ー
 作・演出:小沢道成
 出演:大久保綾乃、小沢道成

アドバイザー:鴻上尚史

(新宿シアター・ミラクルにて)

※彼らの出演する虚構の劇団次回公演は、
 『エゴ・サーチ』(2010年9/10-19)
 紀伊國屋ホールにて。

※諸々の公演情報、虚構の劇団のサイトで。

『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』(5/13-30)
DAIGO主演、で観に行くのもいいでしょう。
サプライズがたくさんの素敵な大人のミュージカル。
演出は『URASUJI』でもお馴染みの…とはこちらの弁ですが、松村武
個人的には、役に俳優の個性をギリギリまで引き出してキャラクターを作り上げる、そんなバランス感覚を大切にした演出家だと思っています。
今回も個性的なキャストの魅力を損なうことなく見せてくれました。

初舞台にしてミュージカル初出演の主演のDAIGOは、シーモアらしく、DAIGOでありつつ真面目で気弱で頼りないけど優しいシーモアの持つ心の奥まで歌と芝居で見せてくれました。
そして、脇を固めるベテラン勢が無くてはこの作品は語れません。
彼らの歌と踊りで、この街の様子や刻々と変わっていく状況を知ることができます。

この作品は、もちろん笑いもたくさんありますが、気がつくと心の奥に潜んだ人間のダークな部分にまで踏み込んでいます。
でも、その先にあるのは・・・。

演出よし、コーラスよし、キャストよし、DAIGOの懸命さが役のシーモアと融合してよし、初めて聴いた彼の歌も良かった。
今までにも観たことがあるのに、こんなに洒落たミュージカルだったのかとちょっと感動。

台本・作詞・ハワード・アシュマン
音楽・アラン・メンケン
パペットデザイン・マーティン・P・ロビンソン
翻訳・常田景子
訳詞・演出・松村武、音楽監督・歌唱指導・玉麻尚一、振付・川崎悦子、美術・島川とおる、音響・山本浩一、照明・林之弘、衣装・牧野純子

※公演の詳細は、公式サイトで。

※『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』の公式ブログ

※素敵なコーラス、街の女の子クリスタルとして出演中の池田有希子さんのブログ。
 ゆっこの分離独立ブログ

(本多劇場にて)

☆「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ 特別版」DVD
 リック・モラニス[主演]
 

☆「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ 1982年オフ・ブロードウェイ・キャスト盤」CD
 

劇団四季『サウンド・オブ・ミュージック』(4/11-)
日本でも過去に何度か舞台上演されていました。
今回はロンドンで上演されていた作品の日本版です。
チラシの情報によると、アンドリュー・ロイド=ウェバーがプロデューサーとして参加。
その宣伝文句も「あなたが観たかったのはきっと、この『サウンド・オブ・ミュージック』」と、堂々たるものでした。

音楽的な魅力が素晴らしい作品です。
セリフでは少々不自然に感じる四季独特の発声も、歌になると強張った気持ちが溶けるように心が温かくなるのを感じました。
そして、オーディションで選ばれた子役の歌と演技が素晴らしく作品に溶け込んでいます。
音楽の、歌の持つ力を感じつつ、一部、映画とは違う展開にとまどう観客の声も聞こえました。
それでも、心から楽しみ、温かい気持ちで劇場を後にしました。

トラップ大佐にダブルキャストで、久しぶりに鈴木綜馬が四季の舞台に登場していたのも、過去に四季での活動を知る観客にとっては朗報です。

企画・制作・日本版演出・浅利慶太

※公演の詳細は劇団四季のサイトで。

(四季劇場 秋にて)

☆「サウンド・オブ・ミュージック 2006年 ロンドン・キャスト」(輸入CD)
 



『2人の夫とわたしの事情』(4/17-5/16)
W・サマセット・モームの「夫が多すぎて」をケラリーノ・サンドロヴィッチの演出・上演台本で舞台化。

夫を戦争で失ったヴィクトリア(松たか子)。
一年間喪に服した後に、夫の親友と再婚し、慎ましい生活を強いられています。
すると突然、亡くなったと思っていた最初の夫が帰宅しました。
驚き慌てつつも美しいヴィクトリアは、彼女に好意を寄せる戦争成金の実業家にも心が揺れます。
果たして彼女が下す決断とは!

魅力的であるが故に罪深い、いわゆる自己チューな妻を松たか子が痛快で豪快なコメディエンヌぶりで好演しています。
前の夫に段田安則、現在の夫に渡辺徹が扮して、彼女に振り回される心優しく情けない男ぶりで観る者の同情を誘います。

大胆に誇張された舞台美術に象徴されるメリハリのある三幕の舞台に、上演時間があっという間に過ぎてしまいました。

作・ウィリアム・サマセット・モーム、演出・上演台本・ケラリーノ・サンドロヴィッチ、翻訳・徐賀世子、
美術・二村周作、照明・小川幾雄、衣裳・前田文子、音響・水越佳一

※公演の詳細はシアターコクーンのサイトで。

(シアターコクーンにて)

☆作・ウィリアム・サマセット・モーム、訳・海保真夫「夫が多すぎて」岩波文庫
 

『モジョ ミキボー』(5/4-30)
1970年、北アイルランドのベルファストで、異なる宗教の家庭に育ったモジョミキボー、2人の少年が出会いました。
少年たちの描く大きな想像の世界の始まりです。
浅野雅博石橋徹郎、2人の関係はまさにモジョとミキボーさながらですが、たった2人だけで彼らを取り巻く全ての人々、17役を演じています。
本当にそう見えるということは、観客の記憶と想像力が、演じる側のイメージとピタリと合うということだと思うのですが、閉塞感ある劇場で時間と場所を共有する幸福感を味わいました。

オレンジとグリーンの色が隔てているのは土地だけではない、その国の持つ問題が浮かび上がります。
北アイルランドにおける紛争問題については知っていたつもりでしたが、この紛争による悲しみがまるで当事者として感じられるような、そんな想像力に溢れる舞台でした。

脚本・オーウェン・マカファーティ、翻訳・平川大作、演出・鵜山仁、
美術・乗峯雅寛、照明・中山奈美

※公演の詳細は公式ブログで。
 しばらくの間、注目のページに掲載します。

(下北沢OFF・OFFシアターにて)

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