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kangekinocafe

Author:kangekinocafe
観劇の記録と紹介です。

えびす組劇場見聞録メンバーです。
しばらくblogはお休みしていましたが、【演劇、観劇のカフェ】blogからこちらに引っ越して来ました。
どうぞよろしく。

観劇のカフェ
出会った作品について語ります。関連書籍や音楽も、できる限りご紹介します。
『狭き門より入れ』(8/17-9/6)
昨年観たイキウメ『図書館的人生Vol.2盾と矛』ですっかり魅せられ、この5月に観た『関数ドミノ』でイキウメ、そして作・演出の前川知大の描く世界の虜になりました。

今回の作品のキャストは、イキウメのメンバーではありません。
佐々木蔵之介市川亀治郎など、演劇各界のメジャーな役者が前川ワールドを彩ります。

舞台はとある街のコンビニエンスストア。
菓子や弁当の陳列棚、レジカウンターがあり、左に見えるのがその入り口です。
実はそこが「狭き門」のカギとなっているのですが、それが次第に明かされていきます。

前川作品は、およそ有り得ない、とんでもない世界観を、私たちの住む世界と隣り合わせに存在させてしまいます。
ただ、一般の人がまだ知らないだけで、いかにも本当に存在しているような「真実」が描かれているのです。
その設定に説得力を持たせられるかどうかは、役者次第なのかもしれません。
いつもは隣にいそうな若者、役者たちが、その世界を造っています。
今回は、言うなればテレビでも知られた役者陣、観客にはそんな先入観があるのですが、彼らは見事にその余分な先入観を取り除き、素直に不思議な世界を体感させてくれました。

「取捨選択」
このキーワードが大きくのしかかってきます。

「切り捨てる」という選択もあるということ。
どうも今私たちのいる世の中が、切り捨てられた方に思えてならないのです。
この世界には何が必要なのか、いや何が欠けているのかを、この作品は大きな声で叫んでいるのかもしれません。

作・演出・前川知大、音楽・向井達也、美術・土岐研一、照明・原田保、音響・原田耕児

※公演詳細はパルコ劇場のサイトで。

(パルコ劇場にて)

※この後、倉敷、大阪、広島、福岡を巡ります。

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『RENT』ブロードウェイ・ツアー(8/7-30)

ジョナサン・ラーソンが脚本・作曲・作詞を担当したミュージカル『RENT』。
映画の公開来日キャストによる公演新たな日本版の公演など、繰り返し上演されることがこの作品そのものに多くのファンがいることを物語っています。

中でも今回は、少し特別です。
主演のマークロジャーに、ブロードウェイのオリジナルキャストが来日して、同役を演じています。
2006年に公開された映画版でも同役で出演していた、アンソニー・ラップアダム・パスカル
ミミの吹き消すキャンドルの匂いが届くほどの距離から舞台を観ても、再演の度に若返る周囲のキャストを相手にしても、主演の二人には何の違和感もありません。
それどころか、もう数え切れないくらい演じている同役を、映画で受けた感動さながらに、全てが初めて起こる出来事のように心の動きを見せてくれました。

この作品の初日を観ずに他界したジョナサン・ラーソンの初心を知るオリジナル・キャスト。
彼らは作品そのものを伝えることに情熱を注いでいるのかもしれない、そして新たな共演者にその心が通じている、そんな想いを抱きました。
さらにこの作品は、その時々に様々なことを気づかせてくれます。
脚本は同じでも、「今」観ることで、クローズアップされて見えてくるものがありました。
今回は「麻薬」と「住居」の問題です。
簡単に路上で買えるクスリ。体を蝕んでいると知りながらも止められない病んでいく心。
その苦悩が浮かび上がります。
そして日々暮らす安住できる家を手にすることがいかに難しいことか。

両方とも、書かれた時代と場所は違っても、現代の日本が直面している問題とぴったり合っているところに怖さを感じます。
初演から12年を経て、退廃していく日本を憂うことになりました。

抽選で当日解放される最前列で観ていた若者たちが、騒ぐ事なく食い入るように舞台を観ていた姿が印象的でした。

脚本・作曲・作詞・ジョナサン・ラーソン、演出・ マイケル・グライフ、
音楽監督・追加編曲・ティム・ワイル、振付・マーリス・ヤービィ、音楽監督/指揮・デヴィッド・トラスキノフ、美術デザイン・ポール・クレイ、衣裳デザイン・アンジェラ・ウェント、照明デザイン・ブレイク・バルバ、音響デザイン・ブライアン・ローナン

※公演詳細は、RENT ブロードウェイ・ツアー公式サイトで。

(赤坂ACTシアターにて)

☆映画「RENT」DVD
  

 


『八月納涼大歌舞伎』(8/8-27) 千穐楽

今年も八月は「納涼大歌舞伎」として、普段は昼夜2部制のところ、3部制で盛りだくさんの演目が上演されました。

納涼ですから、怪談話が多いのが特徴でしょうか。
場内が真っ暗になる中で上演される歌舞伎は、満席だから、どうにか平静を保って観ていられるような気がします。
7月の「天守物語」も作品の雰囲気が歌舞伎座にピッタリでしたが、この古い木造の劇場ならではの、こちらは怖さがありました。
ましてや三階席です。真っ暗な中で天井が近いのがこんなに気味の悪いものであるのだと、改めて感じ入りました。

【第一部】
天保遊侠録(てんぽうゆうきょうろく)」、「六歌仙容彩(ろっかせんすがたのいろどり)」

【第二部】
真景累ヶ淵(しんけいかさねがふち)」豊志賀の死、「新歌舞伎十八番の内 船弁慶(ふなべんけい)」

【第三部】
お国と五平(おくにとごへい)」「怪談乳房榎(かいだんちぶさのえのき)」

第三部の「怪談乳房榎」では、中村勘三郎が同時または入れ違いで登場する四役を早替りで演じ、そして舞台のセットには大量の水が流れ落ちる滝も登場する、まるで花火大会のように華やかな舞台に客先が大いに沸いて、幕となりました。

※公演詳細は、歌舞伎公式ウェブサイトで。

(歌舞伎座にて)

 ※写真は、第三部開演前の歌舞伎座概観。
  千穐楽の幕が、よく見ると係りの人の手で取り外されようとしています。
  帰りに見たら、もう幕はありませんでした。
 


「第15回稚魚の会・歌舞伎会合同公演」(8/22-25)
15回を数える『稚魚の会・歌舞伎会合同公演』です。
歌舞伎のお弟子さん方が、この時ばかりは大役を勤め上げます。
第13回から観はじめて、毎年8月のこの会を楽しみにするようになりました。

演目は
菅原伝授手習鑑
  ~佐太村賀の祝の場』
双面水照月
与話情浮名横櫛
  ~源氏店妾宅塀外の場
  ~源氏店妾宅の場』

1日に2公演、A班とB班があり、それぞれ役が入れ替わります。

さて、私が観た回は、客席には師匠の役者の姿が結構見られました。
ここでは普段は師匠のやる役を演じるのですから、プレッシャーもあったことと思います。
なかなか立派な立ち振る舞いです。
後で気付いたのですが、さっき登場していた役者さんが、もう受付に…もちろん素顔のスーツ姿で対応してくれています。

表も裏も、自分たちが主役である意気込みが感じられ、これから大舞台での活躍を観るのが楽しみになりました。
この会で覚えたお弟子さんの活躍は、やはり気になります。

休憩時間には出演するお弟子さんの個性豊かなメッセージも聴けるイヤホンガイドもありますから、どうぞ楽しみに観にいらしてください。

※公演の詳細は、国立劇場のサイトで。

(国立劇場 小劇場にて)

7Days Judgement『死神の精度』(8/21-31)
石井光三オフィスプロデュース『死神の精度』。
作・伊坂幸太郎の人気の小説であることを、今回の舞台がきっかけで知りました。
同名の小説には、オムニバスで短編が数作収められています。
プログラムを読むと、2008年に死神・千葉役を金城武で数作を一つの作品に散りばめた映画『Sweet Rain死神の精度』もあるようです。

さて今回は『死神の精度』から【死神と藤田】が上演されています。

7Days Judgement、それは人間の死を見極めるために死神がターゲットに7日間密着して下す審判~

小説では、冒頭で「千葉」と名乗る死神はターゲットの人間と既に接触しており、その過程は彼の回想で語られ、時にはその人間の最期の場面は読者の想像力に委ねられることがあります。

今回の舞台では、時系列に事が進み、この作品の結末まできっちりと見せてくれます。
まるで完!の文字が出るくらいに後腐れなく、潔く、登場人物の生きざまが描かれました。
そして何よりも舞台化を観て思うことは、死神が同僚同士で語る「人間とは…」について、一言一言が客観的に感じられたことです。
舞台上の人々は、観客の鏡か反面教師に映りました。

死神・千葉について、一言。
多くを語らず、時には常識外れの言動や行動を「いかにも」そんな風に演じたのは、香川照之
小説の常識外の人物像に対して、その行動に説得力がありました。
一体どんな研究をしたのか、気になるところです。

そしてラサール石井の「藤田」像の、破格の格好良さといい、少ない登場人物が魅せた舞台でした。

個人的にはミュージカル『モーツァルト!』で勝手に見出だした中川晃教の演技に対して、ようやく歌ナシ、マイクナシの舞台姿が見られると期待した作品です。
今はベテランの主役陣に揉まれたその成長を見守りたいと思います。

原作・井坂幸太郎、脚本・演出・和田憲明、
美術・長田佳代子、照明・佐藤公穂、音響・遠藤宏志、衣裳・牧野純子

※公演詳細は、世田谷パブリックシアターのサイトで。

(シアタートラムにて)

☆作・伊坂幸太郎「死神の精度」文春文庫
 

☆『Sweet Rain死神の精度』DVD
 

『ブラッド・ブラザーズ』(8/7-9/27)
約15年ほど前にロンドンで観たのが、この作品でした。
イギリスの上流階級とロンドンの下町に暮らす2人の少年。
実は双子として生まれた彼らの成長の過程と数奇な運命の巡り合わせ。

ロンドンで芝居の要素のあるミュージカルを初めて観た思い出として、忘れられない作品となっています。
セリフのコックニー訛りがとても珍しかったこと、そして物語の語り部であるナレーターの俳優が死に神のごとく作品に影を落としていたことが思い出されます。

今回は主演のミッキーとエディはダブルキャストです。
ミッキーは武田真治、エディを岡田浩暉で観ました。
二人とも演技の引き出しをたくさん持っている俳優です。
7歳で初めて二人が出会う純真な子ども心から、苦労を重ねた大人の苦悩の表情まで、その心情が観客を惹きつけて離しません。
二人の幼なじみリンダの鈴木亜美も同様に、子供から大人への変化、複雑な女心まで魅力的に見せてくれました。

彼らの変化を追う観客は、作品へどんどんと引き込まれていきます。
さすがにコックニー訛はありませんでしたが、その分、登場人物の細やかな感情表現が、彼らの階級と環境の違いを感じさせてくれました。

もうひと組のキャスト(藤岡正明&田代万里生)が、どう立ち向かうのか、こちらも楽しみです。

脚本・音楽・歌詞・ ウィリー・ラッセル、演出・グレン・ウォルフォード、
翻訳・伊藤美代子、訳詞・小林香、振付・大澄賢也、美術・松井るみ、照明・高見和義、衣裳・屋島裕樹、音響・戸田雄樹

※公演の詳細は、公式サイトで。

(シアタークリエにて)

☆「ブラッド・ブラザーズ」オリジナル・ロンドン・キャスト(輸入CD)
 

八月歌舞伎公演『石川五右衛門』(8/8-27)

最近は、石川五右衛門が流行っているようです。

大きなところでは、ミュージカル作品で、劇団☆新感線『五右衛門ロック』(2008年7月観劇)がありました。

歌舞伎役者の中村橋之助も出演している映画(石川五右衛門には江口洋介)もあり、満を持して歌舞伎の舞台になった、というところでしょうか。

今回の新橋演舞場の石川五右衛門には、市川海老蔵が扮しています。

作・樹林伸が、海老蔵に当て書きしたという(歌舞伎公式ウェブサイト「歌舞伎美人」の記事より)この作品は、市川團十郎家らしい荒事の芸たっぷりの、そして息をもつかせぬスピーディーな展開の中で、五右衛門が人として成長する様までも描かれた、贅沢な舞台になっています。

ここ数年、新橋演舞場で、海老蔵が新しい感覚で作った作品を観てきましたが(特に2008年の1月の通し狂言『雷神不動北山櫻』など)、歌舞伎作品ということを常に意識した中でケレン味のある演出に、好感が持たれます。

奇をてらわずに作品の真髄を描こうとする、その意図が伝わってくるからです。

海老蔵は、声も、立ち姿も、顔もいい役者です。

歌舞伎という古典の世界で、舞台で一層輝くその存在を、これからも存分に見せつけて欲しいと思います。

茶々中村七之助、そして五右衛門が敵対する豊臣秀吉市川團十郎が扮するなど、その係わりも楽しみな舞台です。

作・樹林伸、脚本・川崎哲男・松岡亮、監修・奈河彰輔、振付・演出・藤間勘十郎

※公演詳細は、歌舞伎公式ウェブサイトで。

(新橋演舞場にて)


『第七回亀治郎の会』(8/7-9)

歌舞伎役者、市川亀治郎によるファンの集い、ではなく、歌舞伎舞踏公演です。
国立劇場 小劇場で行われました。

3部に分けて、最初は『お夏狂乱』、次に『身替座禅』、そして最後は上公演当日になっても「見てからのお楽しみ」として明かされない作品など、たっぷり楽しませてくれました。

お夏狂乱』は、作・坪内逍遥、振付・藤間勘吉郎の舞踏劇です。
通常の歌舞伎の舞台ではなかなか観る機会が無く、私自身、所見でした。
恋人と死に別れて乱心したお夏亀治郎)。狂ってもなお恋人を慕うその姿に、里の子供や周囲の人々との係わりを、なんとも複雑な想いで観ました。

身替座禅』、作・岡村柿紅の歌舞伎や舞踏公演でもよく目にする作品です。
山蔭右京と太郎冠者、そして右京の奥方玉の井、3人の本心と力関係など、それぞれの人間模様が面白い作品です。
ここでは亀治郎山蔭右京に扮します。
浮気相手の花子に会いに行ったノロケ話を語る様、そして亀三郎が演じる気高い奥方奥の井の心情など、若い役者の瑞々しい演技を楽しみました。

最後は、上演されるまで明かされなかった作品で締めくくり、亀治郎を中心にした歌舞伎の舞踏作品を堪能した、という感想です。

若手の役者が役の経験を積んでいく、志と機会を大切に見守りたいと思います。

※公演についての詳細は、市川亀治郎の公式サイトで。

こちらのスタッフブログに、公演の写真が掲載されています。


(国立劇場 小劇場にて)


『ESCOLTA SINGING DRAMA~信じる者たちへの歌~』(8/3)
5月に初めて聴きに行った「ESCOLTA」のライブ、『ESCOLTA Singing Drama 2009 ~Spring Special~』
彼らの楽曲と歌声、そして歌の世界に誘う「エスコート」という意味からつけられたていうグループ名のごとく、音楽に魅せられてしまいました。

今回の会場は、赤坂ACTシアター(左の写真は劇場の外観)。
ゲストを招いた競演あり、日本の懐かしい歌のメドレーありの盛りだくさんの内容に、あっという間に時が過ぎていきました。

そして新曲の披露。
新しい試みのその楽曲は、組曲のように一つの作品の中で様々な表情を見せる大作でした。
時間もたっぷり12分
壮大でいて繊細、まるで3年目を迎えた彼らのようです。

メンバーが互いを思いやりながら、聴衆に語りかけるトークに、心が洗われる想いでした。
包み込むような歌声に、抱かれている心地良さがあります。

そして、個々の活動とともに、次回公演の告知がありました。
11月28、29日
新国立劇場 中劇場だそうです。

※「ESCOLTA」の活動については、公式サイトで。

(赤坂ACTシアターにて)

☆『JOURNEY AROUND THE BLUE MARBLE視聴できます
 【初回限定盤】 2nd. Album(DVD付) 2008年10月01日
 

『ピースの煙』(7/25-8/2)
作・原田宗典、舞台は昭和21年
戦中、戦後をドラマやドキュメンタリーでしか知らない世代ですが、その当時の人々の温かさを感じられたような気がしました。
スズナリの客席を対面式にして中央に存在する舞台は、観客に時と場所を自在に想像させてくれます。

21歳と19歳の兄弟。
父親に説教されて、うなだれた顔を上げると、そこにはベテラン俳優の顔が(中西良太、鈴木一功)。
それまでの彼らの背中の芝居が、俳優の年齢を超えて(意味としては若く)いました。

兄にとって、煙草のピース、すなわちピースの煙への想いとは。

一つの家族と兄弟を取り巻く人々が、彼らの人生にとって、どんなに大事であったのか。
昭和21年という時代が、人々にどんな決断を強いらせたのか。
きれい事を言うようですが、こんなにもがむしゃらに人が生きなければいけない時に、本当に必要とするものが見えてくる、そんな想いでエンディングを見守りました。

男性陣も素晴らしいけど、二人の女性陣(福森加織、かんのひとみ)の場面ごとの変身ぶりが見事、作品を豊かにしています。

作・原田宗典、演出・大谷亮介、
音楽・野田晴彦、照明・富松博幸、音響・二木くみ子、音響協力・安良岡茂、衣裳・三茶小町+小野康子、ヘアメイク・近藤澄代、美術・舞台監督・野口毅

※公演の詳細は、制作・プリエールのサイトで。

(下北沢ザ・スズナリにて)