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kangekinocafe

Author:kangekinocafe
観劇の記録と紹介です。

えびす組劇場見聞録メンバーです。
しばらくblogはお休みしていましたが、【演劇、観劇のカフェ】blogからこちらに引っ越して来ました。
どうぞよろしく。

観劇のカフェ
出会った作品について語ります。関連書籍や音楽も、できる限りご紹介します。
『幕末純情伝』(8/13-27)
作・演出・つかこうへいのこの作品に、懐かしさを感じて観に行きました。
前回、同作品を観たのはいつの頃だったでしょう?
沖田総司」と言えば「儚さを携えた美少年、それでいて巧みな剣の使い手」と言うイメージで、世代の近い女子学生の間で爆発的な人気があったという時代がありました。
そんな時に、美形というイメージゆえに「沖田総司は女だった」というコピーで、この作品が話題となっていました。

つか作品の、つか演出で面白いのは、同じ作品でも演じる役者によってその役の個性が異なる印象を与えているということです。
歌あり、踊りあり、刺激的な場面ありに、作品のストーリーをなぜか覚えていないことに月日が経ってから気づきました。
ただ、誰が何の役だった、ということはその印象の強烈さから覚えているのです。
そして、これは個人的な見方ですが、つか作品で大胆な役柄に抜擢された俳優は、月日どころか年月が経っても、今もなお現役の第一線の俳優であるように思います。

そういう目線で見ると、今回の沖田総司に配されたのは石原さとみです。
映像でも人気絶頂の彼女の口からは、今までに聴いたことのない大胆な発言が飛び出すことに驚く観客もいたようですが、それほど思い切りよく、そしてそんな彼女だからこそ、問題なく新橋演舞場という大劇場で今の世の中に風穴を空けるような発言をセリフに乗せて発することができるのではないかと、そのキャスティングの巧みさに感服しました。
そして高杉晋作という名で登場する吉沢悠の、懸命な人物像にその魅力が比例する役者の底力を感じました。

作品としては、史実にのっとるというよりも、新選組のメンバーや世の政治家の名前のカリスマ性が、登場する役者を印象深いものにしているようです。
彼らが苦悩する理性を忘れた人間の数々の行い、それを胸に深く受けて、痛みを感じることが、もしかすると私たち観客の役割なのかもしれません。

作・演出・つかこうへい、装置・中村知子、作曲・編曲・からさき昌一、音響・内藤勝博、照明・林順之、衣裳・宮本宣子

※公演詳細は、新橋演舞場のサイトで。
http://www.shochiku.co.jp/play/enbujyo/0808/index.html

(新橋演舞場にて)

☆映画版「幕末純情伝 特別版」DVD
 監督・薬師寺光幸
 沖田総司は牧瀬里穂、坂本竜馬は渡辺謙が扮しています。
 


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『ホロー荘の殺人』(8/20-24)
原作はアガサ・クリスティの推理劇です。
作品について知らなかったので、小説を手にしてみました。
結構な長編小説です。
しかし犯人がわかっては面白くないので、舞台を観てから読むことにしました。

さて、長編小説がもとになっていますが、舞台版は登場人物が間引かれ、いえ厳選されています。
俳優座劇場の舞台を屋敷の居間の一室として、場面の転換はありません。
登場人物の会話の中で、誰がどこから来て、どこへ行くのか、観客の想像が舞台をイギリスのとある田舎へと導きます。

上演時間は休憩15分を含めて2時間10分。
テンポの良い展開に、観客が固唾を呑んでその行方を見守っているのを感じました。
登場人物それぞれの背景と関係に関心を奪われて、本当に最後まで犯人がわからない、そしてその先どうなるのか興味深いところでした。
この作品は、もともと文学性の強い小説だそうで、それが舞台版にも単なる犯人捜しに終わらない面白さをもたらしているようです。

宮本裕子が、その人物の持つ強さ、人間性、愛情の全てが滲み出るような好演で魅了します。
そしてサプライズな気分を味わったのは、池田有希子の演じるハリウッドの映画女優。
その眼差しいっぱいにゴージャスな雰囲気が漂い、劇中の日常を「演じる」態度が、この作品に一石を投じたようなインパクトを与えていました。

誰かが誰かのために犯人か否かわからない、それは登場人物の誰もが憎めないからだと思います。
コンパクトですが爽快感のある推理劇となりました。

作・アガサ・クリスティ、訳・鈴木小百合、演出・グレッグ・デール
舞台美術・石井みつる、照明・阿部典夫、音響・小幡亨、衣裳・西原梨恵

※公演詳細は、俳優座劇場のサイトで。

(俳優座劇場にて)

☆作・アガサ・クリスティ、訳・中村能三「ホロー荘の殺人」ハヤカワ文庫
 舞台版にはポアロは出ていませんが、こちらの小説にはポアロが登場しています。
 


8月に観たい-歌舞伎
第14回 稚魚の会・歌舞伎会合同公演

◎8月21日-26日、国立劇場小劇場にて。

昨年観て、今年も楽しみにしていました。
昨年は、今では大きな役を担っている国立劇場歌舞伎俳優研修修了生の先輩俳優の姿も客席にありました。

この舞台を観て以来、出演している役者が歌舞伎の舞台の大勢の中にいても、その存在が不思議とすぐにわかります。
注目度が増すということですね。
多くの観客の目が、彼らを支え、育んでいるのかもしれません。

※公演詳細は、こちらのサイトで。

八月納涼大歌舞伎

◎8月9日-27日、歌舞伎座にて。

オペラ「アイーダ」を歌舞伎に置き換えた「野田版 愛陀姫(あいだひめ)」も上演されます。

8月ならではの、お祭りのように賑わう納涼歌舞伎。
今月は三部制なので、それぞれの部の席料が割安になっています。

※公演詳細は、歌舞伎の公式サイトで。

『女教師(じょきょうし)は二度抱かれた』(8/4-27)
松尾スズキの演出作品(『キャバレー』)や、俳優としての出演作品は何度か観たことはありますが、彼自身が書いた作品を観るのは実に10年ぶりのことでした。
その時観た作品は、「ラフカット'97」の『洞海湾』(作・松尾スズキ、演出・堤 泰之、スペース・ゼロにて)。
ラフカットとは、オーディションで選ばれたエネルギッシュで力のある若手の俳優を、ベテランの作・演出の作品に起用するというものです。
(詳細はプラチナ・ペーパーズのサイトで)
松尾スズキの作から受けた衝撃は、相当なものでした。
突きつけられる醜い現実に登場人物も傷だらけですが、それを観ている観客の心も傷だらけになっていました。

今回の作品を観て、あの時に抱いた衝撃が蘇ってきました。
30代半ばの新進気鋭の小劇場では名の通った演出家(市川染五郎)。
彼は破天荒な歌舞伎の女形の俳優(阿部サダヲ)を起用した舞台の企画で、大劇場への進出を狙います。
顔合わせの席に向う途中、偶然、高校時代の演劇部の担当教師(大竹しのぶ)に再会。
ただならぬ想いを抱く二人。
やがてその再会が、周囲に大きな影響を与えて行きます。

それぞれの人物の私生活は、まるで人生の裏の舞台のようでもあります。
建前と本音と言ってもいいかもしれません。
その本音の部分を、さらに深く溯った現在と過現実の二重の構造で舞台は進行します。
松尾スズキの作品では、あり得ないほど誇張されたキャラクターが、ありそうな現実味のある設定の中で生きています。
そしてその世界で受けた痛みを、作品の登場人物と共有するような感触を抱きます。
劇中、登場人物によって歌われる歌は、傷口に塩を塗るように染み渡りました。

※公演詳細はBunkamuraのサイトで。

(シアターコクーンにて)