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kangekinocafe

Author:kangekinocafe
観劇の記録と紹介です。

えびす組劇場見聞録メンバーです。
しばらくblogはお休みしていましたが、【演劇、観劇のカフェ】blogからこちらに引っ越して来ました。
どうぞよろしく。

観劇のカフェ
出会った作品について語ります。関連書籍や音楽も、できる限りご紹介します。
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『tick, tick... BOOM!』(10/27-11/7)
11月16日に初日を迎えるミュージカル『RENT』(公式サイトはこちら)の生みの親、ジョナサン・ラーソン。
この『tick, tick... BOOM!』は、ジョナサンの自伝的なミュージカルです。
その日本版は、主演を前回に引き続き山本耕史での再演となります。
耳に残るのは、ジョナサン役の山本耕史の力強い歌声。
彼の芝居については、テレビドラマなどで正義感のある頑固な役柄に好感を持っていました。

さて、この作品のジョナサンは、30才の誕生日を目前にして、いつまでも自分が「前途有望な作曲家」であることに内心は焦りを感じながらも、望む仕事で人生を生きることにこだわり続けています。
その彼は、ただ耳に心地よいだけの音楽の作り手になることは望んでいなかったことでしょう。
  観客が受け止めたのは、等身大の若者の魂の叫びにも聞こえる詞とメロディ。
そして、どうすれば世間の人々に想いを伝えられるかということも、彼は心得ています。
  N.Y.を離れてはいけない。

ジョナサン・ラーソンというアーティストの生きざまを知って観ると、より彼の想いが伝わってくると思います。

tick, tick,・・・ これは時を刻む音。
この時点では、彼は自分の命の期限など知る由もなかったでしょう。
しかし、『RENT』でも友人を通して知る「時」という人間の一生は限られたものであることを意識して、「今」を大切に生きよ、と、観客にメッセージを送っているように見えます。
私にとっては彼の作品を観る度に、「今」そして「友人」の存在を考えるきっかけとなっているのです。

山本耕史もこの10月の終わりに30才の誕生日を迎えます。
同世代として舞台の上から彼の発信する想いは、注目に値すると思います。
初日は出演者の緊張が客席にも伝わってくるようでした。
そんな中でもジョナサンの友人役マイケルのゲイリー・アドキンスは、歌唱の素晴らしさ、演技の柔軟さで私たちを楽しませ、マイケルの生き方を考えさせてくれました。

tick, tick... のあとのBOOM!は爆発音。ついに花開いたのか、それとも時間切れか?
最後に、望みを強く持ち続けると、自然にそのための関係ができてくることを改めて感じさせてくれました。
ジョナサンの生き方とともに。

作詞・作曲・脚本・ジョナサン・ラーソン、
翻訳・訳詞・演出・吉川徹、音楽監督・前嶋康明、美術・松井るみ、照明・高見和義
コンダクター&ピアノ・前嶋康明、ギター・中村康彦、ベース・えがわとぶを、ドラム・岸田容男

(世田谷パブリックシアターにて)

※ご参考:えびす組のコンスタンツェが、初演の様子を「えびす組劇場見聞録 第14号」に劇評として掲載しています。
 こちらからお読みいただけます。

☆『tick, tick... BOOM!』海外オリジナルキャストCD
チック・チック…ブーン! オリジナル・キャスト(国内盤CD)
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芸術祭十月大歌舞伎・夜の部(10/2-26)
幕見席は立ち見で大盛況の夜の部です。
一幕だけ観たのは「仮名手本忠臣蔵」。
今年の新年に新春浅草歌舞伎で観た演目でした。
肝心の時に(主人の大事の時に、勘平はお軽と逢い引きをしていました)いなかったばっかりに、仇討ちに加わるための資金の申し出も却下され、さらに誤解が元で切腹に至る勘平の、本当に浮かばれない悲劇の物語です。
浅草歌舞伎の若手役者で観た時は、ただただ情けなく勘平を哀れに思いました。

お軽(菊之助)と定九郎(海老蔵)以外は、ほぼ彼らの父親の世代の役者で固められた今回のこの作品。
勘平を、この役で高い評価を得ている仁左衛門が演じます。
菊之助の女房お軽は艶っぽく、その若さから勘平の資金作りのために遊女へ出されるのですが、その先の彼女の人生が案じられるほどの悲哀がありました。
一方、猪と誤って人を撃ち、義理の父親を殺してしまったと思い込んで悩む勘平。
日々の後悔の念まで感じられるその姿に、仁左衛門のただならぬ存在の大きさを感じました。
勘平は切腹して詫びようと、腹に刀を突き刺します。そして義理の父を殺したという誤解が解けた時、ついに仇討ちのメンバーに名を連ねることが許されました。
それを認めたのは不破数右衛門(弥十郎)。話の流れだけではない説得力のある威厳が伝わってきます。演じる弥十郎の演技の幅には、いつも感心させられます。

歌舞伎は役ごとに化粧を施すので、役の年齢が役者のそれと異なっても、その様式と演じる力で作品が作られる、というのがこの一年あまり歌舞伎を観続けた私の見解です。
だからこそ経験がものを言うこともあり、世間から当たり役と称される役を生涯演じていくのかもしれません。
以前テレビのドキュメンタリー番組で見たのですが、先輩の当たり役を若手が演じる時は、一緒に動きながら体でその形を伝承されることがあるそうです。
互いの目が芸を磨き合い、継承していく世界なのだと感慨深く思いながら、この日も舞台を見つめていました。

(歌舞伎座にて)

☆十月の筋書きには、「舞台の"共演者"小道具 その<わざ>と<芝居心>」という項目があります。その作品で使われている小道具の解説が興味深いですね。
鉄砲の玉が当たらなかった猪とか、その鉄砲など。
鉄砲は実射はできないながらも、銃身の本体は本物で当局の許可証付き(筋書きより)だそうです。
毎月20日頃以降の筋書きには、その月の演目の舞台写真が掲載されます。
発行時期については、歌舞伎座に確認してください。
『黒革の手帖』(10/3-26)
米倉涼子の主演で、同作品のテレビドラマもありました。
原作・松本清張の有名な作品です。
この舞台の観客のほとんどは、ドラマを観たか、作品を読んで観に来たように思います。

米倉涼子については、経験を積むごとに成長が目に見える俳優だと感じていたので、舞台初主役と聞いても勤め上げるという期待がありました。
そしてこの作品は彼女の所属する事務所が制作に係わっているので、とにかく場面ごとに彼女の美しさが際立っています。
全身を美しい衣裳に身を包む主役の登場には、客席からため息が出るほど。
その立ち振る舞いで観客を魅了する様は、まるで舞踏の舞台を観ているようでもありました。

私はドラマを観ていませんが小説を読んでいたため、正味3時間に詰め込まれた作品の内容や背景を理解することができました。設定は今の時代に合うよう少々書き換えられていたようです。
しかし登場人物のキャラクター設定は、あんなに醜く思えた原口元子への復讐劇に係わる人物が、根底には彼女への愛情を持って接していたように描かれていたことに驚きは隠せませんでしたが・・・

場面の転換で、米倉演じる原口元子の置かれる状況を暗示させるダンスは、心憎い演出でした。

原作・松本清張、脚本・金子成人、演出・西川信廣、美術・石井みつる

(明治座にて)

☆この作品の原作本「黒革の手帖」上・下巻 新潮文庫
黒革の手帖(上巻) 黒革の手帖(下巻)

☆テレビドラマ「黒革の手帖」のDVD 1~4巻
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『イドメネオ』ゲネプロ
新国立劇場オペラ劇場のニュープロダクションとして登場するのは、モーツァルト作曲のオペラ『イドメネオ』。
そのゲネプロ公演が行われました。

劇場内客席の中ほどには演出家や舞台スタッフの机が置かれ、記録用らしきビデオカメラがまわり、舞台写真用のカメラのシャッターの音が響く中での上演となりました。

物語は、クレタの王イドメネオが、嵐の中を助けてくれた海神ネプチューンとある約束を交わすことから始まります。「海岸で最初に会った人物を生け贄に捧げる」と。そして海岸で目にしたのは、イダマンテという青年、イドメネオの息子だったのです。
囚われの敵国の娘イーリアとイダマンテの恋、さらにイダマンテを慕うアルゴスの王女エレットラの存在。悩む王イドメネオ。
そんな折、人々を殺戮する怪物をイダマンテが退治し、そして自分の父が海神と交わした約束の内容を知って、自ら犠牲になることを決意します。しかしイーリアもまた自分が身代わりにと名乗り出たのです・・・。

見どころ、聞きどころは、第3幕に様々な想いでイドメネオ、イダマンテ、イーリア、エレットラが歌う重唱、アリア、民衆の合唱だと思います。
特に歌い手の中でもイダマンテ役の藤村実穂子は、見事な歌唱を聴かせてくれました。ソプラノのアリアにも勝る艶のある声質。
経歴を読んでみると、バイロイト音楽祭に日本人としては初めての主役級として出演していた(公演チラシより)という実力の持ち主でした。
イダマンテは男性ですが、女性のメゾソプラノがよく配される役のようです。

楽曲の印象は、観客に拍手の暇を与えないほど、歌>歌>演奏>歌>・・・と畳み掛けるように続いています。だからこそ、クライマックスの第3幕は劇的でさえあります。
そしてモーツァルトの楽曲は、やはり美しいメロディで綴られているのだと再認識しました。

作曲・ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト、原作・アントワーヌ・ダッシュ、台本・ジャンバッティスタ・ヴァレスコ
指揮・ダン・エッティンガー、演出・グリシャ・アサガロフ、美術・衣裳・ルイジ・ペーレゴ
合唱指揮・三澤洋史、合唱・新国立劇場合唱団、管弦楽・東京フィルハーモニー交響楽団

公演は10/20、22、25、28、30。詳細は新国立劇場のサイトで。

(新国立劇場 オペラ劇場にて)

モーツァルト:歌劇「イドメネオ」(全曲)@ガーディナー/イングリッシュ・バロック・ソロイ...

☆モーツァルト:歌劇「クレータの王イドメネーオ」全曲
モーツァルト:歌劇「クレータの王イドメネーオ」全曲
『書く女』(10/2-15)
この芝居のチラシ、寺島しのぶが書籍に埋もれたパソコンの前で悩んでいます。
まさか樋口一葉の物語だとは思わずに劇場へ行きました。

寺島しのぶは樋口夏子(樋口一葉のこと)となって、私たちの目の前におりました。
素晴らしい俳優だな、いえ、そんなものではありません、もの凄い!
しばらく彼女の舞台を観なかったことが悔やまれるほど、その存在感に圧倒されながら彼女の姿を追い続けました。

父の死により、17歳で戸主となった樋口夏子。
貧困の中、書くことで身を立てることを決意し、けなされては奮起し、自分の置かれた状況を見据え、小説のテーマを見いだして行きます。
クラッシックのピアノのメロディを背景に、作・演出・永井愛の登場人物個々の個性を織り交ぜた構成に興味を引かれます。
様々な状況で行きつ戻りつする半井桃水との関係は、その繰り返しに観ているほうも、今度も彼女はこの一線を越えないだろうという夏子の並々ならぬ信念の強さを確信するのです。

なにしろ、初めて女性で日本の紙幣に登場した人物です。
その人となりが凡人らしからぬ説得力と、それでいて庶民や文豪にも讃えられる感覚を観客に見せなければなりません。
寺島しのぶの演技には、それが裏付けられる信念の存在がありました。
魂に火がついたような瞳、こんな瞳を持つ俳優に初めて出会ったように思います。
そして彼女には演じる上での迷いはないのだと観客は確信します。
樋口夏子は、どんな生涯を送るのだろうかと、引き寄せられるように舞台を食い入って観ていました。

上演時間が、3時間15分だった?そんなことは観ている間は気になりません。ただ、体力は消耗しました。一人の女流作家の生涯を見届けたのですから、当然です。
樋口一葉が世に出した書は、有名どころだけでも「おおつごもり」「たけくらべ」「ゆく雲」「にごりえ」「十三夜」・・・とタイトルが次々と口から出てきます。
どんなに長生きしたのかと思いきや、樋口一葉は24歳でその一生を終えました。

作・演出・永井愛、美術・大田創、照明・中川隆一、音響・市来邦比古、衣裳・竹原典子

(世田谷パブリックシアターにて)

10月18日から11月23日まで、各地で公演があります。
詳細は、二兎社うぇぶにて。

☆「大つごもり、十三夜」大つごもり、十三夜、ゆく雲 他を収録 ワイド岩波文庫
大つごもり

たけくらべ」集英社文庫

☆「にごりえ、たけくらべ」ワイド版岩波文庫
にごりえ
夜能『萩大名』
時を告げる鐘が「ムーンリヴァー」のメロディを奏でると、18時半、いよいよ開演です。

笛の音、そして次に舞台に照明が入り、橋掛りから役者の登場。
プログラムに注釈がされているように、背景に白洲や老松を描いた鏡板はありません。「都市空間の舞台に適するよう」配慮がなされているわけです。

第ニ十五回日比谷シティ夜能
会場は、日比谷通りに面した高層ビルの谷間にあります。
日比谷通りですから、交通量も多く、ダンプが通ると騒音と地響きがするほど。
ですから舞台にはマイクが設置され、かろうじて客席には声が届くようになっています。
かろうじて、と言うのは、なにしろ屋外でビルの谷間です。谷間を取り囲む通路から舞台が見えてしまいます。
しかし距離があって、会場の外に声はハッキリと届かない。・・・うまくできています。

2日(10/11-12)に渡る公演ですが、日ごとに演目が異なります。
本日は、狂言『萩大名』、能『石橋(しゃっきょう)』が行われました。
『萩大名』には野村萬斎が出演。
田舎者の歌心のない大名が、萩の花見の際に当座(即興の和歌)を亭主から求められ、苦労する様を描いたものです。
萬斎が演じる大名のコミカルな様子に、客席が沸いていました。

(日比谷シティ広場にて)
えびす組劇場見聞録第23号
えびす組劇場見聞録第23号が出来上がりました。
メンバー4人がそれぞれ選んだ作品と評をお楽しみください。

こちらをクリックすると、「えびす組」のホームページに跳んで、お読みいただくことができます。
また、「えびす組劇場見聞録」(新聞版)第23号は、下記の劇場に設置されています。
劇場への直接のお問い合わせはご遠慮下さい。

◆THEATER/TOPS◆タイニイ・アリス◆シアターサンモール◆駅前劇場
◆世田谷パブリックシアター◆シアタートラム◆こまばアゴラ劇場
◆テアトルフォンテ◆相鉄本多劇場◆ベニサン・ピット◆シアターX
◆銀座小劇場◆STスポット◆カメリアホール◆みどり会館
◆シンフォニア岩国◆山口情報芸術センター◆北九州芸術劇場
◆七ツ寺演劇情報センター◆文学座アトリエ◆サイスタジオ
◆山手ゲーテ座◆シアターZOO◆にしすがも創造舎◆横浜赤レンガ倉庫1号館 new!!
(順不同)

「えびす組劇場見聞録」ホームページ掲載演劇作品一覧も、演劇に興味がありましたらご覧ください。過去に取り上げた作品を掲載しています。

『ゴルフ・ザ・ミュージカル』(10/8-29)
ゴルフの何をミュージカルにしてしまうのだろう?
みんなそう思っているに違いない。
オープニングで登場人物も考えながら歌っています。ゴルフをミュージカルにしてしまった理由を。
ベスト10からカウントしますが、真意のほどは・・・?

私だって事前に何をやるのか知っていたわけではありません。
チケットを買って観に行った理由は、キャストにあります。
出演は川平慈英、高橋由美子、池田成志、堀内敬子、相島一之の5人だけ。
歌に魅力がありそうなメンバーですよね。「池田さんがいれば、面白いこと間違いなし!」そんな理由でしたが、幕が開いたら、音楽が耳に心地良かった!
マイケル・ロバーツがオリジナルの楽曲(脚本と作詞も)を作った、これはアメリカ発の翻訳のミュージカルなんですね。
でも、人物名、背景は今の日本になっているので、状況が把握しやすいです。

これは登場人物がゴルフコースを1ホールから18ホールを周り終えるまでの物語。ゴルフを知らない人でも大丈夫。コースデビューの登場人物もいるので、一緒に学べます。
ゴルフコース上に彼らの人生が浮かび上がってくるなんて。あぁ、16ホールで泣かされるとは思いませんでした。

コメディのつもりで観ていましたが、出演者の歌声に癒されたミュージカル、こういう少人数でじっくり聴かせるミュージカルって、いいものですね。
劇団四季を退団して以来初めて聴いた堀内の歌唱は、熟した果実のようでした。そして思いきりの良い芝居に魅了されます。
軽快なテンポのミュージカルにとは異なり、じっくりその心境を聴かせてくれたのが、池田成志と高橋由美子。
そして演技と歌唱に人間味溢れる相島一之。

これでゴルフが好きになるかは・・・わかりませんが、楽しかった。
登場人物と一緒にゴルフ場に行ってみたくなりました。ん?これって作者のネライどおり?

最後にもう一度、堀内敬子の豊かな歌唱に、12月のユーミンソング・ミュージカル『ガールフレンズ』が、どんなに素晴らしいものになるのかますます楽しみになりました。
こちらは魅惑の歌声の持ち主、池田有希子と共演です。

脚本・作詞・作曲・マイケル・ロバーツ、日本語台本・演出・福島三郎
音楽は、パーカッション(長谷川友紀)とエレクトーン(加曽利康之)の生演奏です。

(パルコ劇場にて)
『羅生門』(10/7)
鎌倉薪能の舞台で聴く 言の葉コンサート~というサブタイトルにあるとおり、鎌倉駅からバスで15分のところにある鎌倉宮で行われました。
この神社の境内で、10月8日、9日に薪能があります。
そのために作られた特設の能舞台で一足早く上演されたのが、江守徹の朗読と、大鼓、横笛のコンサート、というわけです。

18時開演。30分前まではまだ薄明るかった場内も、開演時間になると陽もとっぷりと暮れて、空には丸い月が浮かび上がりました。
プログラムは芥川龍之介の作品から、「蜜柑(みかん)」「手巾(はんけち)」そして大鼓と横笛の演奏から「羅生門」へと続きます。
作品ごとに芥川の想いを説き、それとともに江守自身の感想が語られます。

江守の語りに、作品の情景が目に浮かびます。必要以上に抑揚をつけず、それでいて登場人物のする会話が聞き分けられる。
それはもう、客席で聴く者の喜びでもありました。

闇に響く大鼓と横笛の音。横笛奏者は3、4本の笛を帯に差し、場面により音色を使い分けていました。時には2本同時に吹いて一人で別のハーモニーを合奏する場面もあり、耳で作品を大いに楽しませてくれました。
芥川の文体の魅力にも大いに感じ入りました。

屋外に設置された舞台です。車の音も聞こえてきますが、それにも増して虫の音が美しく耳に入ります。そして客席は始終、満月に照らされておりました。

(鎌倉宮境内にて)

☆「羅生門改版」岩波文庫
羅生門改版

☆「地獄変」集英社文庫・・・「羅生門」「蜜柑」などを収録
地獄変

大導寺信輔の半生」岩波文庫・・・「手巾」を収録
『ペテン師と詐欺師』(10/6-11/5)
天王洲 銀河劇場オープンです。
以前アートスフィアという名前だった劇場が、オーナーと名前を変えて生まれ変わりました。
そして、こけら落とし公演がこの作品です。

主演の詐欺師を演じるのは、鹿賀丈史と市村正親。
昨年、ストレートプレイの『デモクラシー』で二人の共演を観ましたが、観客としては燃焼不足。
しかし『ペテン師と詐欺師』は、二人の掛け合いが軽妙、絶妙で楽しい作品です。
言い忘れました。この作品はミュージカル・コメディ。鹿賀と市村が、たっぷり歌います。
きっと好きな歌やシーンに出会えることでしょう。
私が好きなのは、ダンディな詐欺師ローレンス(鹿賀)に弟子入りを申し出るフレディ(市村)が歌い踊るシーン。ミュージカルナンバーは"SON OF GREAT BIG STUFF"(邦題・デカいヤマ)。市村は主役で歌い踊ってこそ魅力的!だと思わせる舞台でした。

共演者からも目が放せません。
ダンディなローレンスのターゲットは、女性ばかり。それも莫大な資産が背景にある娘たち。
愛華みれ(慈善の精神溢れる有閑マダム)、高田聖子(オクラホマの石油王のやんちゃな令嬢)、奥菜恵(石鹸王(?)の娘かもしれない可憐な少女)らが扮する魅力的な女性達。それぞれの個性に合わせた詐欺師たちの手口が、からっと楽しめます。
フレディの良き友人であり相棒のアンドレを演じるのは鶴見辰吾。彼は舞台を観るごとに、めきめきと存在感と魅力を備えた俳優となっていきます。
そして、アンサンブルの歌と踊り、芝居にも惹かれます。

ゴージャスで爽快なミュージカル・コメディ。銀河劇場という名にふさわしく、オープニング公演は夢が溢れ、楽しい気持ちで劇場を後にできる作品です。

演出・宮田慶子、脚本・ジェフリー・レイン、音楽・作詞・デイヴィッド・ヤズベク、翻訳・常田景子、訳詞・森雪之丞、照明・勝柴次朗、衣裳・小峰リリー

(天王洲 銀河劇場にて)


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