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kangekinocafe

Author:kangekinocafe
観劇の記録と紹介です。

えびす組劇場見聞録メンバーです。
しばらくblogはお休みしていましたが、【演劇、観劇のカフェ】blogからこちらに引っ越して来ました。
どうぞよろしく。

観劇のカフェ
出会った作品について語ります。関連書籍や音楽も、できる限りご紹介します。
『ブラウニング・バージョン』(10/20-30)
自転車キンクリートSTORE「ラティガンまっり」3作品のうちの2作目。
作・テレンス・ラティガン、訳・演出・鈴木裕美。

明日でパブリックスクールを退任する教師、アンドルウ・クロツカーハリス(浅野和之)に起きる数時間の話です。彼は50代位でしょうか。彼の泣く姿を見て、こっちも泣かされました。
そして、登場人物に「今ここであなたがそれを言わなければ、どうするの!」と、心の中で叫びながら観ていたり。
人情味たっぷりの、心洗われるラティガンの作品。
30日までの公演なので、詳しいことは、自転車キンクリートのページへ。

終演後に、三部作のそれぞれの演出家(坂手洋二、鈴木裕美、マキノノゾミ)のポストトークがありました。皆作品に惚れこんでいます。よく読むと、いろいろ作家が凝った仕掛けをしている箇所があるそうです。

※一部と二部を観た私は、チケットの半券提示で、三部のチケットを1,000円引きで手に入れることができました。
一部につき500円割り引かれるそうです。
次回は場所をスペースゼロに移しての上演です。

(俳優座劇場にて)
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『リバー・ダンス』(10/12-23)
数年前に国際フォーラムで初めて観ました。ホールAだったでしょうか、2階席から観る舞台は遠く感じられました。
今回はリベンジのつもりで。しかし人気の演目。手に入れたのはオーチャードホール2階席中央の1列目。行ってみたら舞台の奥まで見渡せて、見やすい席でした。

前回は、ここで演奏されるケルトの音楽に魅せられ、知っていそうで知らないアイルランドへ行く決心をしたほど心を動かされました。アイルランドに詳しい方に伺ったところ、『リバー・ダンス』は特別なので、街中で簡単に観られるものではないということ。それを承知で行きましたが、ダブリンでは「ケルト」を意識せずにはいられません。文字も、墓地にある十字架も、海沿いの景色も、イギリスに近くても受ける印象は別ものです。

前置きが長くなりましたが、跳びはねるようなアイリッシュ・ダンスの様式、奏でられるどこか懐かしいと感じる音楽は、独特です。洗練された演出ですが、人間が自然の中で作り上げてきたダンスに、心の奥底で共感が得られることに気づくでしょう。
東京での公演は終わりましたが、11/27まで地方公演が行われます。

(オーチャード・ホールにて)

☆ステージのハイライトシーンがDVDになっています。
ベスト・オブ・リバーダンス THE BEST OF RIVERDANCE ~THE 10th ANNIVERSARY~
『シカク』(10/21-23)
浅草駅の近くに、蔵があるのをご存知ですか?
その蔵が劇場となっていました。
12畳ほどの蔵の中に客席と舞台の空間が存在する、足を踏み入れるだけで不思議な体験です。出演者は3人、観客は30人、薄暗い照明の中、息を殺して目をこらし耳を澄ませます。
時代、小林多喜二の「蟹工船」が流行っているとセリフにあるから、昭和初期の話でしょうか。浅草の踊り子、彼女を慕う文士、楽屋番の老人、3人のどこかすれ違いのある関係。「シラノ・ド・ベルジュラック」のような展開。

たまにはこういう場所で、こういう芝居もいいな、と思える一時間を過ごしました。

企画/制作・AFS(At First Sight)~ハジメテミルケシキ~
(ギャラリー・エフにて)
「歌舞伎 夢の担い手たち」
坂上みきを司会として、歌舞伎の愛好者から初心者にも楽しめるという、歌舞伎の魅力を語るトークイベントがありました。
歌舞伎(観劇)修業中の私にぴったり。その会場には、歌舞伎通のえびす組コンスタンツェの姿もありました。

第一部を「歌舞伎 夢の担い手たち」というタイトルから、市川染五郎と片岡愛之助を迎え、一人ずつ単独のインタビュー。
第二部は二人へのインタビューに加え、歌舞伎の演目『封印切』の一場面を、それぞれ忠兵衛と八右衛門の役を交代して2パターンを見せてくれるという、大変興味深い試みがありました。

この二人がゲストに選ばれたのには、今人気の若手歌舞伎役者ということはもちろんですが、もうひとつ江戸歌舞伎、上方歌舞伎と、東西に存在する異なる趣を持った歌舞伎(歌舞伎初心者の私は、知りませんでした。それを知るために参加しました)を語るための登場となりました。

それぞれ出身も対称的です。染五郎は、ご存知代々歌舞伎役者の家に生まれて育った、なるべくして歌舞伎役者になったという人。
一方、愛之助はサラリーマン家庭に生まれ、児童劇団に入ったことから歌舞伎の舞台に幼少から立っていたといいます。そのうち十三代目片岡仁左衛門の部屋子となり、平成4年に片岡秀太郎の養子となって、六代目片岡愛之助を襲名したとのこと。(トークショーでの紹介によります)

その彼らが第二部の始めに語る、江戸歌舞伎と上方歌舞伎の特徴について。
江戸歌舞伎には、強くてお金もある、非のうちどころのないキャラクターのヒーローが登場します。
一方、上方歌舞伎は、「金も力もなかりけり」という男性が芝居の中心で、女性から慕われる役どころ。
大きなくくりで、こんなことが言われていました。

これからは、関西で上方歌舞伎も観てみよう。
そんな興味のわく、二人の魅力満載のイベントでした。

司会・坂上みき、主催・TOKYO FM
(アートスフィアにて)
『夢の仲蔵千本桜』(10/6-27)
時は安永元年、江戸で森田座の顔見せ興行の初日、というのがこの芝居の舞台。
ようやく開いた初日が終わると、事故や事件が待ち構えていました。
役者が事故で降板したので、座頭の中村仲蔵(松本幸四郎)の愛弟子・中村此蔵(市川染五郎)が急遽舞台に立つことになります。
『義経千本桜』で佐藤忠信、実は源九郎狐に扮する此蔵。劇中劇となりますが、素早い早変わりで人間から狐になり、軽やかな身のこなしで楽しませてくれた後、宙吊りで狐の仕草のまま三階席に消えて行きます。ここで一幕終わり。

二幕は『義経千本桜』の舞台と、急展開する事件が交互に行われます。
歌舞伎座なら回り舞台なのでしょうが、この日生劇場では前後左右上下にセリが存分に使われて、奥行きのある情景を見せてくれました。
しかし、歌舞伎に興味を持ち始めたばかりの自分にとっては、劇中劇の歌舞伎の方に関心が集まってしまいます。
とは言え、「演劇としての歌舞伎、劇的なる歌舞伎」をテーマにしているとおり、舞台裏の楽屋での芝居を見せてくれたりと、新たな体験をさせてもらいました。
幸四郎と染五郎、二人とも高麗屋。染五郎に「ソメコウライ!」と、声がかかっていました。

そうそう、花道ができていました。歌舞伎座よりも三階席から花道がよく見えました。

作・斎藤雅文、演出・九代琴松
(日生劇場にて)
『ヴォイツェック』(10/14-16)
当時ドイツで実際に起きた事件を元に書かれた作品だそうです。
興味ある内容なので、上演時に配布された資料から演出の中野志朗の文を紹介します。
「作者ゲオルグ・ビュヒナー(1813~1837)の死により創作が中断され、場面の断片という形でしか現存していない、この『ヴォイツェック』という作品は、作家の死後、さまざまな研究者によって場面の順番が模索されることになり、決定稿となるものはそもそも存在しない。上演においては全てはそれぞれの現場の裁量に委ねられており、今回、上演するのも従って「我々のバージョン」である。」
どうシーンを構成するかは、演出家次第ということなのでしょう。オムニバスのようで、どこかつながっているシーンの連続は、現実と妄想が交錯しているようにも思えます。役者も登場人物を何役もこなします。しかし、それが作品にメリハリを与えているようにも見えるのだから、面白い作品です。

文学座有志の自主企画公演ということで、商業演劇でも活躍している中堅の役者から準座員まで、皆、自分たちで作り上げているという新しい面を見せてくれているところも興味深いです。

作・ゲオルグ・ビュヒナー、翻訳・岩淵達治。
演出の中野志朗はドイツ演劇に造詣が深そうなので、こういう場でもっと作品を紹介してくれることを期待しています。

(サイスタジオコモネAスタジオにて)
夜能『仏師』(10/13-14)
演劇は、よく言われることですが、観客の想像力で成り立っています。
本日の狂言を観て、改めてその言葉を実感しました。

『仏師』は、スッパ(詐欺師)が仏像を彫る仏師だと偽り、仏堂を建立した田舎者に翌日までに仏像を作ることを約束します。仏像を見せる段になって、仏師が仏像になりすまし、商談成立といきたかったのですが、田舎者から印(手の形)が気に入らないからやり直せ、と、言われては仏師に戻り、できたと言っては仏像になりすまし、やり直すこと数回、ついにはばれてしまうというシンプルな話です。
仏師が仏像になりすますところは、面を被って静止するだけ。一応二役早変わりの面白さがありますが、これこそ観る者が想像力を膨らませて楽しむ舞台でしょう。スッパに野村萬斎、田舎者は高野和憲。

今年で日比谷シティ「夜能」は24回目となります。日比谷通り横の吹き抜けの広場に作られた舞台は、まるで都会のオアシスのよう。雨天時は日比谷公会堂での上演となりますが、来年もこのオアシスに立ち寄りたいと思います。
同時上演は能の『小鍛冶』。

日比谷シティ広場にて)
『恋愛ホテル』(10/6-16)
3組の関係も様々なカップルの、あるホテルの一室での出来事。舞台には3部屋のセットがあり、それぞれ同時にドラマが進行していきます。
年配の男性と娘ほどの年頃の女性、ホストの男性と年上の女性、互いに同世代の20代位の男女、前の2組は初対面のカップル。だから場所が・・・と、いうことなのでしょうか。

さて、芝居に入る前にラジオ放送の収録という設定で、この日は特別にゲストに中川晃教(この作品の音楽を担当)を迎えてのトークがありました。内容は、テーマ曲になっている「愛したあなた」について。
彼が高校生の時の恋愛の別れの気持ちを描いた作品だということです。その時愛した相手と別れても、愛した想いは消えない。素敵な一時だったと振り返れる彼の歌詞を抱いて芝居を見ると、少々強引にまとめられている感はありますが、登場しているカップルが、例えそれが目の前の相手でなくても、それぞれ真剣に想える人がいて、過去に出会った相手でさえ大切に想っている彼らのことが愛しく感じられます。

芝居とは関係ありませんが、中川のシンガーソングライターという部分は、私にはまだ未知の部分です。彼の作品に対する話を聞いて、魂のこもった歌声のベースはここにあるのかと思いました。

この日終演後のミニイベントでは、中川晃教がテーマ曲の歌を披露してくれました。作品の余韻をそのままに想いのこもった「愛したあなた」を聴いて、人を真剣に想えることが、いかに幸せかなのかを感じていました。

脚本・寺田敏雄、演出・松本 健、音楽・中川晃教
アートスフィアにて)

☆「愛したあなた」を収録。中川晃教CDミニアルバム『オアシス』
中川晃教/オアシス
江守徹『羅生門』
この作品は屋外の舞台のため、雨天のため残念ながら中止となりました。
鎌倉宮の境内という、自然の中で作品に触れるのを楽しみにしていましたが、天候に左右されるというのもまた自然の成り行きなのでしょう。

『芸術祭十月大歌舞伎』昼の部(10/2-26)
昼の部は、『廓三番叟』『加賀美山旧錦絵』。

『廓三番叟』は舞踏の出し物。吉原の廓の、とある奥座敷が舞台です。
登場するのは、傾城千歳太夫(芝雀)、太夫の見習いの新造梅里(亀治郎)、そして太鼓持藤中(翫雀)の三人です。
以前、姫に扮した亀治郎の踊りを見て以来、亀治郎の踊りのファンになりました。千歳太夫と梅里の舞は、あでやかな着物、優雅な手の動き、やわらかな物腰・・・。途中から太夫を呼びに来た滑稽な太鼓持藤中が加わり、賑やかで楽しい踊りの舞台です。

『加賀美山旧錦絵』は、実際にあった加賀藩のお家騒動を基に歌舞伎として書かれた作品です。女性ばかりの腰元の世界での、主従の忠義ある関係、亡くなった主人の敵討ちの内容から、後に「女忠臣蔵」と呼ばれるようになったということです。実際には武家の女性三人の話でしたが、江戸時代に身分の違いを取り入れた方が観客が喜ぶからと、そのうち一人を町人の出としたというところに、当時の歌舞伎の客層である庶民の人気のほどが伺えます。

さて、町人の出身ながら姫の信頼を受けている中老の尾上(玉三郎)は、局の岩藤(菊五郎)から疎まれ、なにかにつけてケチをつけられています。ある日、その様子を見ていた尾上の召使のお初(菊之助)が尾上の助っ人に出ますが、結局は卑怯なやり方で岩藤にやり込められてしまいます。そして岩藤にある罪を着せられた尾上がそれを苦にして自害するのですが、真相を知ったお初が岩藤を倒し、主人の敵を討ちます。

苦悩する家臣想いの尾上の心情を、玉三郎が穏やかながら表情豊かに演じています。
そして菊之助は、尾上を慕う腰元の若々しさを全身で表現していて、何とも愛らしく見えました。
七月の『十二夜』で見せた双子の兄妹の二役でも、微妙な男女の違いを巧みな演技で楽しませてくれた女形の菊之助に、今後も大いに期待するところです。
毎月異なる演目に出演している役者たち。日頃の修行の厳しさを感じます。

(歌舞伎座にて)