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kangekinocafe

Author:kangekinocafe
観劇の記録と紹介です。

えびす組劇場見聞録メンバーです。
しばらくblogはお休みしていましたが、【演劇、観劇のカフェ】blogからこちらに引っ越して来ました。
どうぞよろしく。

観劇のカフェ
出会った作品について語ります。関連書籍や音楽も、できる限りご紹介します。
哀悼-坂東三津五郎丈
2015shinshunasakusa今年の新春浅草歌舞伎で、「独楽売(こまうり)」を踊る 坂東 巳之助丈を、こんなにもお父さん(坂東三津五郎丈)に似ていたのだと目を細めて感慨深く見ていました。
それは1月のこと。
今日は、耳を疑うような三津五郎丈ご逝去の報に接しました。
テレビで知ったのですが、『独楽売』の舞踊は、家に伝わる演目だそうです。熱心に息子に教える三津五郎丈の映像に残る最後の姿として紹介していました。

坂東三津五郎丈は、舞台に立つだけで場が華やく存在でした。
舞踊や所作に優雅さが感じられ、魅了されました。
ユーモアを忘れない話し方が好きでした。
思い出されるのは、2年前の花道会 歌舞伎セミナーでの三津五郎丈のお話です。
(その時の思い出のブログはこちら

三津五郎丈の役で好きだったのは、
『蘭平物狂』蘭平です。息子の繁蔵の名を呼ぶ声が、今でも忘れられません。(2009年2月の観劇録はこちら

思い出の観劇録を記します。
歌舞伎を見始めて、自分の感じたその面白さを皆に知ってもらいたくて、歌舞伎を観る度に「ここが面白い!」と書いていた時期がありました。
そこにはいつも三津五郎丈の姿があったことを、観劇録を振り返って痛感しました。
日本の伝統芸能を知るきっかけと、奥深く知る喜びを教えてくれたことに感謝します。
三津五郎丈、ありがとうございました。これからも歌舞伎を見続けていきます。ご冥福をお祈りいたします。

『喜撰』喜撰法師(2008年5月の観劇録はこちら
『将軍江戸を去る』将軍慶喜
そして勘三郎丈との名コンビぶりで客席を沸かせた『浮かれ心中』太助(2008年4月の観劇録はこちら
『通し狂言 怪談 牡丹灯籠』原作者の三遊亭円朝に扮していました(2007年10月の観劇録はこちら
『ゆうれい貸屋』桶職弥六。弥六の男っ振りが気に入った幽霊のお染に中村福助丈。(2007年8月の観劇録はこちら)
新作舞踏劇『たのきゅう』(2006年8月の観劇録はこちら
『南総里見八犬伝』では、左母二郎から犬山道節への早変わり(2006年8月の観劇録はこちら
『傾城反魂香』又平(2006年5月の観劇録はこちら
『権三と助十』助十(2006年5月の観劇録はこちら
『伊勢音頭恋寝刃』(油屋、奥庭)福岡貢(2005年8月の観劇録はこちら


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追悼―中川安奈さん
訃報に接し、驚きました。

今春、都内の劇場でお見かけした際には、いつもと変わらぬ美しい顔立ちで凛々しく歩いていらしたからです。その劇場では、ご主人の栗山民也氏の演出作品が上演されていました。

中川安奈さんには、一度だけお話させていただいたことがあります。
tptで上演された『皆に伝えよ!ソイレントグリーンは人肉だと』初日乾杯の場でした。
出演者お一人お一人と歓談した時のことです。

中川安奈さんに記念のサインをいただこうとプログラムを差し出したところ、「演出家にサインをもらってあげましょうか?」と即座に観客を気遣っておっしゃってくださいました。
私が『バタフライはフリー』の頃から彼女の舞台を観ていること、tptの『チェンジリング』や『アダムとイブ』も、もちろん観ているので、中川さんと話ができて嬉しいのだと伝えたところ、ふっと打ち解けたように満面の笑顔で応じてくださり、熱っぽく芝居の話を観客の輝く表情に例えながら語ってくださいました。このことは忘れられない思い出としていつも胸にありました。

もっとたくさん出演作品を観ていますが、いつも役に全力で向き合って舞台に凛として立っている、それが私の抱いている中川安奈さんの印象です。
最近では、演出家としてもお名前を見ることがありました。
今度は演出作品を観てみたい…それはついに叶いませんでした。

映像とは違って舞台で見る俳優の姿は、その時に抱いた感情とともに観客の胸にいつまでも残っています。
はつらつとした彼女の笑顔を胸に、旅立ちを見送ろうと思います。

※tpt『皆に伝えよ!ソイレントグリーンは人肉だと』観劇録はこちら




ONDOK『サド公爵夫人』
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新国立『マニラ瑞穂記』(4/3-20)
マニラ瑞穂記ポスター昨年、新国立劇場で上演された『長い墓標の列』。
(観劇録はこちら
それはベテラン俳優たちとともに多くの新国立劇場演劇研究所修了生たちが出演するという企画でした。
企画の意図以上に、作品として濃厚でエネルギッシュな舞台を見せてくれました。

さて、その第2弾は、作・秋元松代の戯曲『マニラ瑞穂記』。
演出は、新国立劇場演劇研修所所長として、研修生を育て、成長を見守ってきた栗山民也です。

戯曲を読んで初日観劇に臨みました。
1933年(明治31年)、フィリピンのマニラを舞台に繰り広げられてきた世界各国の国盗り争い。
いつの時代になっても私たち人間のやることは同じだと、現在の世相にリンクする視野の大きな物語と思いきや、その場所で生きる人々の生きざま、個々の信念、ひいては日本人の魂にも言及するような身近に感じられる作品でした。
時代背景なりの男たちの信念、その環境に身を置く女たちの生きるための覚悟などが、赤裸々に描かれています。
特に、混乱の時代に異国の地で、信念で自らを覆うようにして正気を保っている若者たちの姿には心を打たれました。
親兄弟と別れて、今この異国にいる彼ら。
何と戦い、誰が救われるのか、その答えは自ら作り、信じることしかないのです。

さて、ここからは少々ネタバレします。------------
戯曲を読んだ時と少し異なる印象を受けたのが、海軍中尉の「古賀」像です。(古賀を演じるのは昨年の『長い墓標の列』に引き続いて出演する演劇研修所第1期修了生の古河耕史
第一幕前半に、秋岡伝次郎(千葉哲也)が老婆のシズの容姿と存在に恐れを抱く場面があります。
口の利けないシズと名付けられた女性が日本人らしいというのを確かめるのに、日章旗を見せると君が代を歌うと聞いて、古賀が日章旗を指し示し、シズに向かって君が代を唄えと促すのです。
それを制止する秋岡。
この秋岡は、女衒(ぜげん)と言われる女性を売って働かせることを生業としている男です。
それを知った上で古賀は、お前の売った女の末路かもしれないと秋岡に言い放ちます。
戯曲を読んでいる時には、なんてやることのいやらしい心の痛みのわからない男だと古賀のことを決め込んでいました。
しかし舞台での展開を観ていると、秋岡の人身売買という商売を戒めるような物言いに、古賀の真っ直ぐで純粋な人間性が見えてきました。

二幕で古賀が秋岡に対してある企てをしますが、その際に彼が訴える言葉に嘘はないのだと、異国の地で日本人として日本人でいられる生き方を模索してもがいている彼の性根が切なく思えてきました。
海軍中尉として汚れのない純白の制服に身を包む彼の心もまた純白であったのだと。すべてはその心を守るためのスタイルであったのかと。

秋岡と古賀の信念の対峙は、最初のあの場面からはじまっていたのだと思えました。
そして結末へ。

秋岡を理解する日本領事の高崎(山西惇)。
秋岡と高崎、彼らは役の上でも俳優としても、ただならぬ大きな気配を漂わせています。それも見どころの一つ。

ベテランとの共演と言っても、既に経験を積んだ研修所修了生がその役割を担いつつあります。
今後はどんな作品を見せてくれるのでしょうか。
劇場へ足を運ぶ楽しみが増えたように思います。

マニラ瑞穂記舞台美術。小劇場のロビーに展示されている舞台美術模型。
客席が四方から舞台を囲んでいます。
美術・伊藤雅子

作・秋元松代、演出・栗山民也、
美術・伊藤雅子、照明・田中弘子、音響・吉沢 真、衣裳・中村洋一

※公演詳細は新国立劇場の公式サイトで。

(新国立劇場 小劇場にて)

※新国立劇場 演劇研修所についてはこちら

※新国立劇場のサイトでは、こちらの修了生情報で、修了生の活動を知ることができます。


☆『マニラ瑞穂記』を収録。
マニラ瑞穂記・常陸坊海尊 (1964年)マニラ瑞穂記・常陸坊海尊 (1964年)
(1964)
秋元 松代



『Billy Elliot』in London
Victoria Palace Theatre夜2005年からロングランで上演されている作品です。
ロングラン作品と言えば、今も上演されているあるミュージカルのマチネ公演で期待を裏切られたことがありました。
長期間の上演での「ダレ」でしょうか?適材適所とは思えぬ配役が作品を損ねてしまったのです。

しかしこの『Billy Elliot』に関しては、そんなことは要らぬ心配でした。
少年が主役ということは、次々と新しい才能が登場することを意味します。
大人のキャストは、まるで彼らに触発されているように見えました。
それは『Matilda the musical』も同じこと。(観劇録はこちら
プログラムを見ると、(2014年2月)現在の出演者を含め36人ものBillyがいたことがわかります。
そして現在Billy Elliot役の4人のプロフィールを読むと、海外からロンドンの舞台を目指す者もいて、この作品がわずか十代前半の彼らの運命を変えてしまったことが伝わってきました。

Billy Elliot Mitchell Tobin写真私が観た回のBillyは、Mitchell Tobin
1月から加わった13歳の彼は、この舞台に出る前は、アメリカのツアー版『Billy Elliot』で同役を演じていたようです。
その彼がここロンドンでBilly Elliotを演じるために、家族と一緒にイギリスにやって来ました。(公式サイトのCAST プロフィールはこちら
体は小さいけれど、4人のBillyの中では一番年上の彼の覚悟と、周囲の期待を感じながら読みました。
そんな舞台では、大人のキャストの支え、そして牽引する力が、「今そこで起きている」緊張感を生み出しています。
Billy Elliot役は、バレエ未経験者が次第に上達して、ついには名門のバレエスクールに入学を許されるまでの実力を、その身をもって見せなくてはなりません。
その結末には、彼がプロのバレエダンサーになることが暗示されています。
難度の高い技を、正確に。
そしてエルトン・ジョン作曲のミュージカルナンバーまで歌うのです。

一生でほんの短い間をBilly Elliotとして真剣に舞台で 生きる、そんな才能ある少年たちの魂の込められた作品が色褪せることは無いでしょう。

ところで、かつてBilly Elliotを演じていた少年は、どんな道を歩んでいるのでしょう。
初演のオリジナルメンバーの中でも人気の高かったLiam Mowerが、映画『リトル・ダンサー』でBilly Elliotが将来踊るマシュー・ボーンの『SWAN LAKE』に1月から加わったとうニュースがありました。(記事はこちら

★そしてマシュー・ボーンの『SWAN LAKE』でのLiam MowerのCASTプロフィール

(Victoria Palace Theatreにて)

☆『Billy Elliot』ロンドン オリジナルキャスト版CD
Billy ElliotBilly Elliot
(2006/01/10)
Various



☆マシュー・ボーン振付、アドヴェンチャーズ・イン・モーション・ピクチャーズ『SWAN LAKE』DVD
白鳥は映画『リトル・ダンサー』のエンディング同様にアダム・クーパーです。
チャイコフスキー:バレエ「白鳥の湖」 [DVD]チャイコフスキー:バレエ「白鳥の湖」 [DVD]
(2012/03/07)
アドヴェンチャーズ・イン・モーション・ピクチャーズ



☆映画『リトル・ダンサー』DVD
リトル・ダンサー [DVD]リトル・ダンサー [DVD]
(2013/11/06)
ジェイミー・ベル、ジュリー・ウォルターズ 他



テーマ:観劇 - ジャンル:学問・文化・芸術